無汗症anidrosis

　Ａ.神経性無汗症

　　　視床下部の体温調節中枢の障害〔腫瘍・外傷・炎症・手術〕の他，脊髄病変〔前角炎・多発性硬化症・空洞症・脊髄炎・腫瘍〕，末梢神経病変〔アルコール性多発性神経炎・パンセン病・腫癌〕，薬剤〔アトロピン・バンサインなど〕などにより生ずる．

　Ｂ．先天性無汗性外胚葉形成不全症congenital anhidrotic ectodermal dysplasia

　男子のみを侵す伴性劣性遺伝．鞍鼻・萎縮性鼻炎・嗅味覚障害・歯牙形成不全・爪甲形成不全・頭毛疎毛・眉毛部隆起・耳介奇形を伴う．汗腺欠如のため夏季労働は不能．

　Ｃ．その他

　　　老人性汗腺萎縮，強皮症，瘢痕，色素1牛乾皮症，未熟児，アジソン病，糖尿病，砒素中毒，シェーグレン症候群，起立性低血1圧症，多発性骨髄腫，粘液水腫，乾癬・アトピー性皮膚炎，魚鱗癬，天疱瘡など．

8. 乏汗症hypoidrosis

　　アジソン病・尿崩症・悪液質一糸球体腎炎・粘液水腫・重症下痢・魚鱗癬・砒素中毒などで発汗が極度に低下することがある．

9. 鼻部紅色顆粒症granulosis rubra nasi 〔Jadassohn 1901〕

　　鼻尖・鼻翼，ときに頬・オトガイがびまん性に潮紅し，紅色顆粒状小丘疹が多発，小さい痂皮を被むること多く，小水疱，膿疱なども混在．局所多汗あり．学童期に始まり，思春期にはほぼ治癒．優性遺伝し，また季節的影響もある．