ダイエットでうつになる

 

 人はなぜダイエットをするのでしょうか。それは前に述べたように、一つは美容のため、スタイルのため、もう一つは健康のため、生活習慣病を防ぐ、あるいは治すためという理由です。ではダイエットをすれば、望みどおり美しくなれるのでしょうか。ダイエットをすると、生活習慣病にならないというのは本当でしょうか。

 

 まず美しくなるのかということから考えてみましょう。。美しい”とは何かという本質は考えないことにすれば、女性自身が痩せているほうが美人だと思っているのですから、たしかにダイエットで美しくなれると考えられます。

 

 ところがせっかくダイエットに成功して。美しく”なっても、それがストレートに喜びや幸せにつながるとは限りません。

 

 最近、女性のうつ病境界性人格障害、引きこもりなどの精神障害が増えています。

 

 たとえばうつ病になると、感情がなくなるような気分になり、暗い思いにとらわれます。やる気も失われ、過去のことがやたらに悔いられ、いろいろ思い出しては自分の失敗を責めます。何をしても面白くなく、将来に希望がもてません。

 

 このような精神障害の原因としては、精神的なストレスが考えられます。しかし生理学的に見れば、原因は脳内物質のアンバランスにあるのです。私たちの感情は、脳内物質のバランスに左右されているのです。ある神経伝達物質が減少すると、喜びを感ずることができなくなったり、ちょっとしたストレスに抵抗できず、うつになったりしま子。

 

 前の章でお話ししたように、これらの脳内物質は、普段の食べ物を原料にしています。したがって、ダイエットで脳内物質のバランスが崩れたら、たとえ痩せて美しくなったとしても、その喜びを感じることができません。

 

 幸せを感じられないダイエットに意味があるでしょうか。

 

『脳の栄養失調』:高田明和著より