あいまいな目安

 

 現在、糖尿病の治療や予防では、厳しい食事制限、とくに糖分摂取を制限されます。

 

 また、いまは健康な人でも、糖尿病を恐れている人は多くいます。そのような人たちは一般向けの健康雑誌やテレビ番組から、糖尿病についての知識を得ます。それは、「なるべく甘いものを控えて」と、糖分摂取を制限するようにというものです。

 

 では、「甘いものを食べすぎない」というのは、どの程度の食べ方をいうのでしょう。あるいは、何を食べすぎなければよいでしょうか。糖分を減らせば糖尿病にならないというなら、その糖分をどのくらい減らすべきか、どのように決められるのでしょう。

 

 そうなると急に不明確になります。

 

 ここまで論じてきたことから考えると、現在、糖尿病の患者に厳しく指導されている食事制限、とくに糖分の摂取制限は、むしろ糖尿病を悪化させかねない作戦です。

 

 また現在は健康でも、生半可な知識で食事制限をしている人が、たとえば事業に失敗したり、家族間題で悩んだりして強いストレスを受けたとします。すでに述べたように、ストレスは交感神経を刺激してコルチゾルを分泌させ、血糖値を高めます。同時に、細胞のインスリン抵抗性を高めます。細胞はブドウ糖が子分に摂取できない状態になってしまうのです。 また、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源というだけではありません。次の章でも述べるように、精神を安定させるセロトニンの原料になる物質です。