ビタミンEの効用

 

 ビタミンは酸化を防ぎ老化を遅らせることができるといわれています。このような作用のある物質を抗酸化物質といい、ビタミンAやC、E、そして、それらのもとになるβカロテンがよく知られています。

 

 LDLコレステロールが多いと動脈硬化が進むと述べました。LDLコレステロールはそのままでは血管壁に入って行きません。酸化されると血管壁にある受容体と結合して壁に摂り込まれるのです。ビタミンEはこの酸化を防ぎます。

 

 ハワイの日系人を対象に、どのような食生活をしている人に脳梗塞などの血管性痴呆が少ないか調べました。その結果、ビタミンEを摂っている人は脳血管性痴呆になる率が低かったのです。また糖尿病、高血圧の人は脳血管性痴呆になりやすいのですが、この人たちもビタミンEを摂取すると、危険率が三分の一くらいに減ります。

 

 テキサス大学の研究では、八〇〇国際単位(TIU)のビタミンEを三ヵ月間毎日摂取すると、LDLの酸化を四〇パーセント減らすことができるということです。

 

 ハーバード大学の研究では、ビタミンEが劇的に心臓病の発症を防ぐことが示されました。八万七〇〇〇人の看護師を調査したところ、一日一〇〇~二五〇TIUのビタミンEを摂取していた看護師は、そうでない人たちに比べて、心臓病の発症率は四コパーセント低かったのです。また、脳梗塞の危険率が二九パーセント減少していました。さらに、ビタミンEを摂取すると、記憶障害が防げることも分かっています。

 

 ただしビタミンEには即効性はありません。少なくとも二年間は摂取し続けなければ効果はないそうです。

 

 ビタミンEは脂溶性で、コーンオイルなどの植物油やアーモンド、落花生、穀物の胚芽に含まれます。肉ではレバーに多く含まれています。しかしビタミンEは、食べ物からだけでは不足しがちなので、ビタミン剤で一日一〇〇IUくらい補うことが勧められます。

『脳の栄養失調』高田明和著より