ADHDとドーパミン

 

 さて、最近、注目を集めているドーパミン関連の精神症状に注意欠陥・多動性障害(ADH  )があります。この症状の子どもは落ち着きがな  174く、学校などでは教室を動き回り、ものを壊したり、暴力的になったりすることもあります。

 

 すでに一九三〇年代には、このような子どもにアンフェタミンを投与すると効果がある、と報告されています。最近では、メチルフェニデートADHDの特効薬として用いられています。

 

 ADHDの子どもの脳では小脳虫部、尾状核黒質から前頭前野に伸びるドーパミン神経などが萎縮しています。そのために前頭前野ではドーパミンがあまり出なくなっています。アンフェタミンメチルフェニデートは、シナプス間隙にドーパミンがたくさん出るように働きます。つまり前頭前野へのドーパミンの放出を高めることで、ADHDの子どもも落ち着きを取り戻すのです。

 

 アメリカでは、二〇〇万人のADHD学童がメチルフェニデートを用いているということです。ただしアンフェタミンメチルフェニデート覚醒剤で、使い続けると統合失調症のような症状が出たり、禁断症状を引き起こす可能性もあります。このために、その使用に警鐘を鳴らす学者もいます。

 

 いずれにしても、ADHDの子どもではドーパミンが足りないということは、この子どもたちは何か喜びになるものはないかと探していて、落ち着きのない行動をとったり、暴力的になるのではないか、と考えることができそうです。

『脳の栄養失調』高田明和著より