ホルモン分泌作用

 

 ホルモンとは、「身体の器官や部分で作られ、血液によって他の器官や部分に運ばれる物

質」と定義されます。 エリスロポエチンは骨髄の赤血球産生にはたらく造血ホルモンです。血液の濃さがあるところまで下がると、尿細管のまわりの間質細胞で産生されます。慢性腎不全などで腎機能が低下すると貧血がみられるようになりますが、この貧血は、「腎性貧血」

と呼ばれます。

 

 腎性貧血の原因はエリスロポエチンを楽生する健常な間質細胞の減少と、腎不令で尿毒素が増加し、これがエリスロポエチン赤血球産生能を抑えるためです。

 

 血液が薄くなった貧血状態では、血液のヘモグロビン量も下がります。ヘモグロビンは酸素を運ぶ蛋白ですから、貧血による酸素欠乏が肝臓の細胞中にある、ある種の蛋白の産生をうながし、この蛋白が腎臓のエリスロポエチン産生をうながします。しかし慢性腎不全の状態ではエリスロポエチン所生のシグナルが出ても産生する細胞が減少しているので、卜分な産生ができず貧血となります。

 

 天然の食品に含まれるビタミンDは、肝臓で{回目の活性化を受け、腎臓の尿細管でさらに二回目の活性化を受け、はじめて腸からのカルシウムの吸収を促進するという作用を現わすようになります。ビタミンとは「大然食品中に微量に存在する正常な物質代謝に必要な一群の有機物質」ですが、活性化というステップに注目すれば、活性型ビタミンDは「腎臓で産生されるホルモン」と見なすことができます。

『腎臓病の話』椎貝達夫著より