☆運動と入浴

 

 適度な運動は、がんを防ぐ習慣のひとつとして、アメリカの「がん予防十五か条」にも取り上げられています。これまでの研究では、とくに大腸がんとの関係が深く、よく運動をする人には大腸がんが少ないという報告もあります。

 

 運動は、摂取したエネルギーを使い切るという意味でも重要ですが、同時に血液やリンパの流れをよくする効果もあります。心臓は、体のすみずみまで血液を送り出すのが仕事で、動脈の血管も拡張と収縮を繰り返して、血液の輸送に働いています。

 

 一方、末梢にいった血液を心臓まで戻す時には、筋肉が大事な働きをしています。「マツスルポンプ」といって血液を送るポンプの働きをしているのです。筋肉が運動によって収縮すると、その圧力で静脈の血液が上へ、上へと運ばれていきます。

 

 血行と同時にリンパの流れもよくなるので、免疫系の細胞も活動しやすくなります。さらに、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー」という免疫細胞の働きを活性化することや、腸の蠕動運動を高めてお通じをよくすることも、一因ではないかと言われています。

 

 しかしあまり激しい運動はケガのもとになるだけではなく、活性酸素の産生も増やします。軽いジョギングや水泳、日曜農園などで体を動かすことは、動物としての人間の本性でもあります。適度な運動で、ストレス解消、免疫を活性化してください。

 

 頻繁に入浴する習慣のないフランス人は、寿命が日本人より三年短いといいます。入浴には、体を清潔に保つだけでなく、全身の血液循環を改善してカロリーを消費するなど、さまざまな効果があります。血行がよくなれば、免疫細胞も異物を攻撃しやすいわけですから、免疫の向上にも役立ちます。この入浴の文化も、日本人に受け継がれてきた智恵のひとつと言えるでしょう。

 

 快眠、快便、運動と入浴、これを心掛けて生活してください。