大腸がんの臨床病期

 手術前の検査には大きく分けて3つあります。心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓など、手術中や手術後に負担のかかる臓器の機能検査、大腸がんのステージ(臨床病期)を決めるための検杏、ほかの臓器になにか病気が隠れていないかを調べる検査です。

 

 機能検査はほとんどの場合、簡単なもので終わります。一般採血検査、胸部・腹部レントゲン検査、心電図検査、呼吸機能検査(肺活量や、力いっばい息をはくスピードなどを計測して、麻酔方法や、手術後の痰出し補助などを計出します)、動脈血酸素濃度(肺で酸素をとり込む能力がどれくらいあるかをこの検査で測定し、手術中・術後の呼吸管理の目安にします)、PSP尿中排計量検査(赤い色素を注射して、それが尿の中に排泄されるスピードを計ります。腎臓の能力をみる検査です)、尿濃縮機能検査(体に水分がたりなくなった時、腎臓が機能して普通は尿として外に出る量をおさえるので、尿中の老廃物は濃くなります。しかし、腎臓の機能が低下するとこの能力がおとろえ、水分が不量しているのにどんどん水分が体外へ出ていってしまいます。この検査は尿を濃縮して水分を体内にとどめておくがどれくらいあるかを調べるものです)、糖負荷検杏(手術というストレスが加わると、でやや糖尿病の傾向になってしまいます。この検査は甘い水をのんで、血液中の糖分濃ISII!―Q?がどれくらい卜昇するのかを調べます。時間ごとに数回採血することで変化をみるのです)などがあります。心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓などの臓器は普段の日常生活では、本来持っている機能のごくわすかしか使っていませんが、麻酔をかけられ手術を受けると令機能をフル回転させます。機能検査の日的はこの普段使っていない予備能力がどれぐらいあるのか、十分なのかを訓べることですから、ほとんどの手術に共通して行われます。

 

 次に大腸がんのステージを決めるための検査ですが、これは、大腸がんそのものに対する腸の検査と、転移の有無やほかの臓器への浸潤の有無などを見る検査に分がれます。腸の検卉は注腸造影検査と、内視鏡検査です。注腸造影ではがんの位置、形、大きさ、狭窄の程度

などを知るのが目的で、内視鏡ではがんの形、大為さ、表面の模様、出血や狭窄の程度を見て、さらにがんの組織を一部採収し、確かにがんなのが、どんな種類のがんなのかを知るための生検検査も行います。どれも同じ腸の検査ですが、それぞれの持つ意味と、得られる情報の質が違いますから、3つとも行うのが普通で、かちんとした手術計両を立てるためには必要なのです。

 

 転移の有無や浸潤の程度は、胸部レントゲン検査、腹部超音波検査(エコー)、CT(コピュータ断層撮影)などで調べます。最後にほかの腹部臓器の検杏ですが、この代表的なものが胃のレントゲン検査や内視鏡検査です。大腸の丁術なのに胃を調べるのは変だと思われるかもしれませんが、胃にも万一がんがあれば、同時に治療できますし、また手術を受けるとかなりのストレスがかかりますから、胃潰瘍や、胃炎があると手術後に悪化してしまうことが多く、前もってわかればある程度予防的な治療もできるのです。以上もう一度まとめて言うと、①麻酔や干術を安全に受けられる体力があるか、②大腸がんはどの程度進行して