納豆-血栓を溶かす効果あり、血流改善効果は今後の研究課題

 

 

 オクラ、納豆、出の芋、ジュンサイー昔から、粘りけのあるものは体にいいといわれてきた。その主成分は、タンパク質の一種であるムチンや多糖類だ。納豆の場合、あのネバネバをつくる物質は、クルクミン酸ポリペプチドとフラクタン。納豆菌の力が強いほど、大豆タンパク質がアミノ酸にまで分解され、よく糸をひく。

 

 納豆には、ビタミン剔やビタミン吼が大豆より多く含まれ、血液中の中性脂肪を抑制したり、肝臓を強くする働きがあるとされる。また、心筋梗塞脳梗塞の原因になる血栓を溶かす働きも注目されている。黒豆が血液の流れをよくして、血圧を下げることはすでにみてきた。納豆ではどうだろうか?

 

 納豆が血液の流れに、どのような影響をおぼすのか。大豆の納豆と黒豆の納豆の二糖類で、その効果を調べてみた。まず、納豆匸パックとご飯を茶碗一杯分、一緒に食べたあと、血液の流れ方の変化を調べてみた。

 

摂取前四六・八秒/摂取後一時間六三・九秒/摂取後二時間四七・六秒

 

摂取前三五・〇秒/摂取後一時間三九・二秒/摂取後二時間三六・〇秒

 

 男性(六十八覬) 摂取前四二・九秒/摂取後一時間五〇・一秒/摂取後二時間四四・六秒

 

 

 

黒豆納豆を一週間続けて摂取

 

 男性(五十四歳) 摂取前四四・四秒/黒豆納豆を一日一回一週間摂取 摂取後四三・五秒

 

 普通の納豆では、二人とも食べて一時間後は、食べる前よりも血液の通過時間が長くなっ

た。二時間後は、通過時間は短くなったが、食べる前までの状態には戻ってはいない。黒豆納豆でも同じような傾向がみられた。納豆を食べる前がもっとも流れが速く、次に摂取後二時間、そして、摂取後一時間という順だ。

 

 黒豆納豆を一週間続けて食べた場合は、食べる以前よりわすかに通過時間は短くなっている。ただし、この変化が黒豆納豆にだけみられるものか、ほかの要因との関係かはわからない。この事例以外にも、納豆の血流改善効果についての実験を行っているが、すはり、食べたあとの血液の流れが悪くなっている例が多い。

 

 納豆菌がっくり出すビタミンKが豊富に含まれている。そのビタミンKは血液が固

まる反応の中で働く因子である。そのため、私たちが用いている採取した血液に対する抗凝固処理の方法が、納豆を食べたあとの血液では不十分なのかもしれない。血液が固まる条性になっていない体の中では、血流はけっして悪くなっていないと思われる。

 

 ビタミンKの働きを妨害して血液を固まりにくくするワーファリンという薬がある。心筋梗塞脳梗塞を患っている人によく出される薬だが、ワーファリンを服用しているときに納豆を食べると、その効果が減弱されてしまうので注意が必要だ。

 

 「納豆は血栓を溶かす」と、テレビや健康雑誌では、ずいぶんとり上げられてきた。納豆には、ナットウキナーゼといわれる血栓を溶かす物質がある。そのため、心筋梗塞脳梗塞を患った人や、動脈硬化のおそれのある人には効果があると思われるが、タンパク質であるナットウキナーゼが消化をまぬがれて吸収されるとは考えにくい。

菊池佑二著「血液をサラサラにする生活術」より