期待される日本のバイオベンチャー

 日本のバイオベンチャーは、設立されて間もない企業が多い。実績や業績はともかく、その主たる事業を見てみよう。

 

 「ジェンコム」(小林利克社長)は、99年9月、三菱化学ウェルファイド協和発酵の3社共同で設立された。事業は、三菱化学生命科学研究所のバイオ部門が保有する遺伝子機能解析技術の受託研究およびヒト型モデルの作成。同社は、DNAとタンパク質の相互作用によるヒト遺伝子機能解析に独自手法を持っており、その技術をもとに生体内ヒト遺伝子ネットワークの解析を行う。

 

 疾患治療の標的分子の確認やヒト疾患にきわめて近いモデル動物の作成を容易にして新薬開発を従来よりも格段と効率化させる。

 

 「バイオクエスト」(石井泉社長)は、医学・薬学・生化学などの基礎研究に用いられ細胞培養用基材、標識分子の開発・製造・販売を行うことを目的に設立された。

 

 各医科大学と共同で、糖尿病や膵ガン摘出などインスリンが絶対的にまたは相対的に欠乏する人たちに対する免疫抑制剤の代替治療として、「再生膵臓システム」の構築を目的とする産学協同プロジェクトをスタートさせた。

 

 「メディネット」(本村佳司社長)は、ガンや感染症の治療法として注目されている免疫細胞療法に必要な治療用細胞の加工という新分野の事業を目的としている。免疫細胞はガンやウイルス感染症に対する生体防御の主体となる細胞を体外で活性化・培養など加工して病気と闘う力を人為的に強め、それを投与することで、治療効果をあげるというもの。

 

 たとえば、患者のTリンパ球を体外で大量に増殖、活性化させて患者に戻す活性化白己リンパ球療法や樹状細胞を用いた細胞ワクチン療法などがあるという。

 

 「ナノキヤリア」(中富一郎社長)は、ナノメーターサイズの粒子の中に医薬品、遺伝子診断薬を運用することを目的に設立された。同社が研究間発ずる「ミセル化ナノスフィ ア」(高分子ミセル)は、外核の親水性ポリマーと内核の疎水性ポリマーからなる。この内核に医薬品、遺伝子などを保持できるので、血液中で持続的に安定した薬物キャリアとなり、ガン組織に蓄積できる。

 

 「医薬分子設計研究所」(板井昭子社長)は、医薬開発候補化合物の開発・提供、製薬企業の創薬研究の受諾、独白のドラッグデザイン手法と生物情報解析システムの開発、利用許諾が事業。現在生物情報システムを間発しており、これによって創薬ターゲットを即座に発見できるという。

 

 「ドラゴン・ジェノミクス」(加藤拓之進社長)は、宝酒造の子会社。ロシュが特許を持つPCR法(遺伝子増幅技術)に対し、ICAN法という増幅法を発明し特許を有する。セビフ社に対抗すべく、アジアの巨大解析センターを目指している。DNAチップは米国のリンクスという会社と提携し、各疾患別に特化したチップを開発する。資本金は50億円とペンチャーとはいえないに額。日本が誇るバイオ企業で、唯一米国とわたりあえる企業。