2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

診療報酬で大儲けのコンタクト業界

一部コンタクト眼科にも中医協・厚労省にも医道のかけらも見られない 使い捨てコンタクトレンズの普及によって、いまや格安コンタクト店では定価の2割、3割引きは当たり前、中には半額や7割引きまで現れている。その一方で診療報酬をめぐるトラブルも急増…

「専門医制度」に対する疑問

「よりよい医療を受けたい」と医療消費者なら誰もがそう考える。その際、もっとも信頼できる制度、それが『専門医』だ。『専門医』とは、5年以上の専門研修を受け、資格審査や試験に合格して学会に認定された医師のことだ。 この制度ができた背景には、日本…

脳動脈瘤破裂事件

脳動脈瘤はクモ膜下出血の原因となる。過去には、発見されると開頭手術で治療されていた。開頭手術では重篤な合併症が起こりうる。動脈瘤が破裂する頻度は必ずしも高いものではない。最近は、動脈瘤の手術が手控えられるようになってきた。さらに、開頭手術…

民事裁判対策としての刑事事件化

刑事事件として報道されると、民事裁判が有利になる。賠償金が跳ね上がる。三宿病院事件では民事裁判を介しての和解で、多額の賠償金が病院から患者家族に支払われた。司法解剖の詳しい所見が提示されなかったために、事故がなければ、手術で病気が根治でき…

医療分野へのヒューマンファクター工学の導入

医療に大きなリスクが伴うことを社会に認知させたのが、一九九九年にアメリカで出版された米国医療の質委員会/医学研究所による『人は誰でも間違える』である。これは最も有名な医療のリスク管理についての本の一つである。内容に深い洞察やきらめきがある…

気腹解除後ショック

麻酔科医、泌尿器科医が危機感を持つのが遅れたのは、比較的血圧が保たれていたからだと思われる。これが、開腹した直後に危機的状況になった。なぜこうなったか、「報告書」ではほとんど考察されていない。青戸病院の事故調査委員会の二〇〇三年二月一日付…

医療問題の根幹

勤務医は、過大な責任に耐え切れず、病院を離職している。私は、現在の医療危機克服のためには、医療提供体制を変更してでも、開業医の有効活用を図るべきだと思う。開業医にはかつてのような大きな役割を果たして、責任を引き受けてほしい。 武蔵野赤十字病…

入院診療費が少ないことの最大の原因

入院診療費が少ないことの最大の問題点は、病床数あたりの医療従事者の配置が少ないことである。医療従事者の配置は安全に直結する。『月刊保団連』臨時増刊号、七七〇号「医療保険と診療報酬」によると、わが国の入院病床一〇〇床あたりの医師数はアメリカ…

人工呼吸器事故

人工呼吸器やアラームがらみの事故は多い。この事件は実際にあった複数の事件を合成した真実に近い架空の話である。 二〇〇三年、B病院で、深夜、人工呼吸器のチューブが外れたことに12分間気付かない事故があった。高齢の女性患者が、食道癌の術後、重症…

看護学

看護系の専門雑誌をみると、看護師が辞めていくことを扱った記事の多さに眼をみはる。以前は刑事責任が看護師に及ぶことはめったになかった。しかし、患者と接する時間は医師より看護師が圧倒的に長い。看護師が医療事故につながる処置の最後の担当者になる…

京大病院人工呼吸器エタノール事件

京大病院で2000年3月人工呼吸器の加温加湿器に滅菌精製水と間違えて、エタノールを注人したために患者が死亡するという事故があった。河野龍太郎氏の『医療におけるヒューマンエラー なぜ間違えるどう防ぐ』(医学書院)によると、当事者は加湿器の水がなく…

Otezla(apremilast)

FDAは21日、乾癬性関節炎(active psoriatic arthritis;PsA)の成人患者を対象とした治療薬としてOtezla(apremilast)を承認しました。 PsAは乾癬(psoriasis)を患う特定の人々で生じる関節炎です。ほとんどの人は最初に乾癬を患い、その後にPsAと診断されます…

医療から見た大学院制度の問題点

第一は臨床医としての技量が低くなることである。手術では技量の良し悪しで簡単に人の生命が奪われることがある。技量が低くてもよいとするのなら、外科医たりえない。手術を生業とする以上、技量はなんとしても向上させなければならない。大学院に進学する…

スウェーデンの無過失補償制度

日本やアメリカでは、医療の結果に対し、患者側か不満を持ったときは、裁判に訴える。裁判で、患者側か医療側の過誤を立証し、法廷で認められると、医療側に対し賠償金の支払いが命じられる。一方、スウェーデンやニュージーランドでは医療事故をこのような…

腸管外感染症を起こす大腸菌の約4分の1がK1抗原をもつ

大腸菌はB群連鎖球菌に次いで多い、新生児期における髄膜炎の原因です。大腸菌のK抗原は莢膜の一種で、およそ100種類あります。腸管外感染症を起こす大腸菌の約4分の1がK1抗原を持ち、残りも特定のK抗原を持ちます。新生児の大腸菌性髄膜炎の約80%は、K1莢…

医療保険料の負担を一部、従業員に転嫁しようという動き

アメリカのマネジドケアは、企業による医療費負担増を食い止めようとする企業からの要求が強かったために導入が始まりました。医療費はさらなる高騰を続け企業の経営を圧迫しています。最近では。ゼネラル・モーターズ(GM)の問題が大きく取り上げられました…

社会保険は国家による公的制度ではなく、労働者たちの社会的制度

ヨーロッパ各国の医療制度はそれぞれの国の独自の特徴と違いがあるのは当然です。しかし、モデルは大きく分けると次の二つに区分することができるでしょうすなわち、第一は、普遍主義型モデルと呼ばれるものです。これはイギリスが1942年のベバリッジ報告に…

米国での新薬開発はハイリスク・ハイリターン

日本の新薬承認審査や新薬開発は、米国のFDAや市場環境の変化に多々影響を受けるといってよいでしょう。FDAが世界のスタンダードになっているわけではありませんが、米国が世界最大の医薬品市場である限り、FDAの存在は揺るがないでしょう。米国で新薬を発売…

支払能力で医療供給内容が決定する

日本の医療供給上の第一の特徴は、原則として国民すべてが公的医療保険に加入しており、医療供給に係わる費用の多くの部分は、公的医療保険から支払われるということです。医療費の支払い基準は、供給された医療行為や薬剤の種類と、供給する医療機関の人的…

日本の医薬品市場はデカい

全ての企業が海外市場で勝ち組に入れる保証はありません。逆に国内市場に重点を置き直して生き残るという選択肢はあります。もちろん国内市場は医療費抑制や薬価制度の影響を受けるとはいえ、日本の医療用医薬品市場の規模は7兆円規模で、単独国としては米国…

ベータ遮断薬とアルファ遮断薬の作用メカニズム

β遮断薬は、心臓作用が重要です。はじめ心臓の薬として開発されたのは、そのことに由来しています。心拍数と心拍出量を減らすのが、一般に降圧の重要な作用と考えられています。腎臓からのレニン分泌を抑える作用があるので、それが増加している症例にはこの…

熱ショック蛋白と自己免疫疾患

医学の歴史上、長い間、熱は炎症の重要な徴候と考えられてきました。他方、熱を生ずることは病気の治療に導く道とも考えられてきました。発熱することは身体内で熱ショック蛋白を生成する自然の方法です。熱は必要なときは免疫反応性の刺激となり、熱ショッ…

イギリスでは金持ち中産階級が自費や民間保険で民間病院に行く傾向が強まっている

イギリスの医療制度は、税による公的医療制度(NHS)であり、第一次医療(プライマリーケア)分野を担当する一般医(GP)と第二次医療を担当する病院とに機能が区分されています。NHS制度の財政的見通しは、1980年代初頭から始まりました。サッチャー改革の中で、1…

日薬連の新薬価方式提案

2008年7月から中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会で薬価制度改革へ向けて本格議論が開始されました。イノベーションに基づく新しい薬価制度を導入することは議論を待つまでもなく総論賛成です。日本製薬団体連合会(日薬連)や日本製薬工業協会(製薬…

参天製薬

参天製薬にとって最大の経営課題は、「世界の参天製薬」へ飛翔することです。そのための現実的な企業戦略があるかと問われれば解答は難しいでしょう。参天製薬の参入する医療用点眼剤市場では、大手グローバル企業であるスイスのアルコン、米国のアラガンや…

アンピシリンとクロラムフェニコールの両方に耐性のインフルエンザ菌

アンピシリン耐性のインフルエンザ菌による敗血症や髄膜炎に対して、クロラムフェニコールは重要な救命手段であり、呼吸系感染症においてはテトラサイクリンは頼りになる抗菌剤でした。クロラムフェニコール耐性インフルエンザ菌は、1972年に米国で最初に報…

欧州の医薬品産業が強い理由は化学技術の歴史にある

欧州の医薬品産業のグローバルな競争力は、他の製造業やIT企業と比較して際立って高いです。医学の源をたどれば欧州に行き着くように、もともと欧州には医薬に対する長い歴史と知識の蓄積があります。医薬品の取り組みが速かったことと、化学をベースにした…

第一三共

第一三共は2005年に業界3位の三共と同5位の第一製薬が経営統合で合意し、2007年4月に両社が合併して発足しました。循環器や代謝系、感染症などの主要な医家向け領域を手掛けるとともに、総合ヘルスケア起業を目指すためのOTCではアステラス製薬からゼファー…

ツムラ

ツムラはいわずと知れた漢方薬の大手ですが、ツムラの漢方薬は医療機関で処方される医療用漢方薬が中心です。国内の医療用の漢方薬市場は、これまで年率7%程度であった数量増が同8%強へ上昇し始めており、ツムラが唱えてきた漢方薬の第2の創業期とも言える需…

無保険者が増加する米国

米国では金融危機の深刻化などで、実体経済が急速に悪化し、景気回復の兆しが見えません。企業のリストラが増加し、雇用機会の減少によって医療保険に加入していない無保険者が増加します。無保険者の医療保険加入を促すために、民間保険会社に対する規制強…