アンピシリンとクロラムフェニコールの両方に耐性のインフルエンザ菌


アンピシリン耐性のインフルエンザ菌による敗血症や髄膜炎に対して、クロラムフェニコールは重要な救命手段であり、呼吸系感染症においてはテトラサイクリンは頼りになる抗菌剤でした。クロラムフェニコール耐性インフルエンザ菌は、1972年に米国で最初に報告されてから、日本も含めあちこちで報告されています。耐性機構はクロラムフェニコール不活化酵素によるもので、多くはプラスミド性です。
1976年になって新たにオランダでリンパ性白血病の4歳の女児の喉からクロラムフェニコールとテトラサイクリンに耐性のインフルエンザ菌が見つかりました。アンピシリンとクロラムフェニコールの両方に耐性のインフルエンザ菌は、1980年に米国とタイで最初に報告されました。1979年夏、タイのバンコクにある孤児院で3人の子供が、アンピシリンとクロラムフェニコールに耐性のタイプbインフルエンザ菌によって起こった髄膜炎で死亡しました。引き続き秋口にかけて、同じ孤児院の子供219人のうち38人の喉からタイプbインフルエンザ菌が分離され、そのうち約半分はアンピシリンとクロラムフェニコールに耐性でした。日本では1982年に分離されたインフルエンザ菌株の20%がアンピシリン耐性で、その約3分の1はアンピシリンとクロラムフェニコールの両方に耐性でした。サルファ剤、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、アンピシリン、トリメトプリムの5剤に耐性のインフルエンザ菌も分離されました。これらの耐性遺伝子はRプラスミド上にありました。いや~インフルエンザってこわいですねぇ~。今年もちゃんと予防接種しとこうっと。