医療保険料の負担を一部、従業員に転嫁しようという動き

アメリカのマネジドケアは、企業による医療費負担増を食い止めようとする企業からの要求が強かったために導入が始まりました。医療費はさらなる高騰を続け企業の経営を圧迫しています。最近では。ゼネラル・モーターズ(GM)の問題が大きく取り上げられました。アメリカを代表する自動車会社に異変が起きたのです。
GMでは、自動車の販売不振に加え、組合員・退職者の医療費負担が重く伸し掛かり、経営を圧迫しているといいます。2005年の1年間だけで、GM全米自動車労働組合(UAW)の組合員・退職者110万人向けに負担する医療費は56億ドルに達する見通しです。UAWの組合員による医療費負担率を現在の7%から、GMのホワイトカラー並みの27%に引き上げれば、GMのコストは年間12億ドル減ると試算されています。医療費負担の軽減はGMの業績回復のカギを握る重要問題だと言われています。GMUAWに負担増を持て目ていますが、UAWはこれに強く反発し、交渉は難航しています。
また、年金制度でDC(確定搬出、defined-contribution、いわゆる401k)が話題になっていますが、アメリカでは医療保険についても、従業員の医療費として一定の金額を割り当て、これに従業員の自己負担を組み合わせながら、自由に診療を受けさせるという仕組みのDCが注目され始めており、上来の大きな動きにあるという見方もあります。これもまた、医療保険料の負担を一部、従業員に転嫁しようという動きの一つです。ただし、医療費が高額になり、従業員の負担が最大になることに備えて、事業主負担で医療費が一定の金額を超えた場合のみをカバーするタイプのマネジドケアを提供することが現在のアメリカでは一般的です。これにより、企業は健康保険料の軽減を図り、従業員負担が高額になるリスクに備えることができます。
基本的には、最初に取り決めた金額までは企業負担で従業員が自由に診療を受けられますが、次の段階は従業員の自己負担としておき、合計があまりに多くなった場合は、企業が指定する医療機関を使用する場合は全額を企業負担とし、その他の医療機関を使用する場合は従業員負担を付けるというような仕組みになります。