腸管外感染症を起こす大腸菌の約4分の1がK1抗原をもつ

大腸菌はB群連鎖球菌に次いで多い、新生児期における髄膜炎の原因です。
大腸菌のK抗原は莢膜の一種で、およそ100種類あります。腸管外感染症を起こす大腸菌の約4分の1がK1抗原を持ち、残りも特定のK抗原を持ちます。新生児の大腸菌性髄膜炎の約80%は、K1莢膜をもった株によります。一方、健康な成人由来の血液、尿、糞便培養および子供の直腸培養からは、K1莢膜をもった大腸菌株は15から40%しか見つかりませんでした。意外に少ないですねー。
大腸菌が原因で起こった髄膜炎の子供57人について、その臨床的に見た病気の重さと、損の原因となった大腸菌がK1莢膜多糖抗原をもっているか否かの関係を解析したところ、K1莢膜をもった大腸菌株によって起こった髄膜炎のほうが、K1をもたない大腸菌による髄膜炎よりも罹患率も致死率も明らかに高かったという結果にはビックリしました。K1莢膜をもった大腸菌株によって髄膜炎を起こした子供48人のうち、31%が死に、29%が神経異常を起こし、4%は異常なく生存しました。K1莢膜をもたない株で髄膜炎を起こした子供9人には試写がなく、病後の追跡調査で一人だけ異常が見つかりましたが、その他は全員異状なしでした。K1莢膜をもった大腸菌株によって髄膜炎を起こした子供から取った髄膜駅の71%から、K1抗原が検出されました。検出されたK1抗原が多ければ多いほど、またK1抗原が血液中や脊髄液中に存在した時間が長ければ長いほど、臨床的結果が重いことがわかりました。マウスを使て髄膜炎から分離した菌の毒力を調べたところ、K1莢膜を折った大腸菌株はK1莢膜をもたない菌株よりも毒力が強く、同じくK1莢膜をもっていても、死亡した子供から取ったK1莢膜保有株は、胃()伸びた子供から取ったK1莢膜保有株よりも明らかに毒力が強かったのです。
以上は、新生児髄膜炎について結成された国際共同研究グループによる報告です。