日薬連の新薬価方式提案

2008年7月から中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会で薬価制度改革へ向けて本格議論が開始されました。イノベーションに基づく新しい薬価制度を導入することは議論を待つまでもなく総論賛成です。
日本製薬団体連合会(日薬連)や日本製薬工業協会(製薬協)、PhRMA(米国研究製薬工業協会)、EFPIA(欧州製薬団体連合会)等からも意見が出されていますが、ここでは日薬連からの提言について検証します。
 日薬連は、とりまとめた「薬価制度改革案」について2008年7月9日の中医協薬価専門部会で業界提案として説明を行いました。この提案は全体で一つのパッケージであり、部分的な仕組みを取り上げて提案するものではないと説明しています。
 特許期間中の新薬のかっく維持を求める一方、特許満了後のジェネリック水準への価格引き下げやジェネリックの使用促進が提案の骨子となっています。
 まず、新薬の薬価は新設されるクラス分類に応じて企業が申請し、新薬評価委員会が評価し、中医協で承認されます。クラス分類は新規性・画期性の高い「ピカ新」と、類似性のある「ゾロ新」等に分けられます。特許期間内にある既存品および新薬は、薬価改定の対象から外す「エグゼンプトドラッグ」とします。すなわち特許期間中には薬価の引き下げは行わないということです。
 その見返りとして特許満了後の先発品(長期収載品)の薬価を引き下げて、ジェネリックの使用促進を促します。具体的には、ジェネリックの発売時に先発品の薬価を最大50%引き下げ、年1回の薬価の頻回改訂も受け入れます。換言すれば、新薬の価格維持のための原資として特許満了後の長期収載品の価格引き下げ分を引き当てるということです。
 日薬連の提案は、米国の自由薬価制度を参考にして価格の上限と下限に一定の歯止めをかけることで、イノベーションの反映と財政ニュートラルを実現することを目指しています。
 新制度導入のための準備期間として、2008年度と2009年度を検討事項や法改正・準備への対応に立てます。2012年度を新薬価格制度導入の開始時期として新薬のクラス分類やエグゼンプトドラッグ設定などを実施し、新薬の薬価は新方式で決定します。そして、2014年度に長期収載品の薬価引き下げを行います。異常が大まかな時間軸です。