無保険者が増加する米国

米国では金融危機の深刻化などで、実体経済が急速に悪化し、景気回復の兆しが見えません。企業のリストラが増加し、雇用機会の減少によって医療保険に加入していない無保険者が増加します。
無保険者の医療保険加入を促すために、民間保険会社に対する規制強化に加えて、医薬品価格の公的管理と凍結を可能にする法案が施行されます。民間保険会社は保険加入のためのプレミアム引き下げや、加入条件の緩和を迫られます。
加入企業向けの法人減税、研究開発減税は見送られます。また、知的財産権は保護されませんが、一定期間を経過したバイオ医薬品についてはバイオシミラーの開発と承認を認めるガイドラインが設定されます。
FDAの安全性に対する監視は緩まず、「Complete Response Letter」の運用は非常に厳しくなり、従来以上に新薬承認取得が難しくなります。FDAに対しては「Complete Response Letter」の乱発という批判も高まりますが、同時期に副作用問題が浮上したことで、非難の矛先は医薬品業界へ向かいます。
景気低迷によって受診抑制が長期化し、新規処方薬発行枚数も減少します。民間保険会社は規制強化によるコストアップを吸収するため、ジェネリックの使用促進を一段と加速します。その結果、米国医薬品市場は数量ベースで年率2~3%のマイナス成長へ転じ、値上げも難しい状況となります。