活況時に出遅れやすい医薬品株はディフェンシブ!?

医薬品株はディフェンシブというイメージを持つ投資家が多いです。ディフェンシブとは株式市場の中で景気後退局面などに強いという意味で、その期間に株価のパフォーマンスが他セクターと比較して相対的に良いということです。これは足元の業績は既存薬の安定的な売り上げから利益を確保できるためです。
医薬品の本質である新薬開発はハイリスク・ハイリターンのビジネスになっています。株式市場ではこの新薬開発のリスクとリターンを株価に織り込む必要があるわけですが、昨今は新薬開発の失敗が相次いだためリスクの方が大きいと考えるべきでしょう。
日本の医薬品セクターの時価総額(1部上場33社、発行済み株式数×株価)は、現在20兆円前後で推移しており、東証株価指数に占める割合は5%程度です。
医薬品セクターの時価総額TOPIXに連動しつつ、TOPIXよりも安定的に推移しています。こうした点がディフェンシブとして評価されているのかもしれません。
ただしディフェンシブの宿命として株式市場が活況の時は出遅れる傾向が強く、医薬品セクターがTOPIXを上回るパフォーマンスを上げることは稀です。
過去に医薬品セクターが株式市場で大きく取り上げられた局面として、1980年代前半の抗ガン剤相場、80年代後半のバイオテクノロジーと抗HIV剤相場、2000年代前半のゲノム相場などが考えられます。いずれも、大型新薬の開発が注目された時期です。
2000年代前半のゲノム相場の時は、遺伝子治療やテーラーメイド医療などの最先端医療技術への取り組みも注目されました。次のテーマは、やはりイノベーションでしょう。
ただし、それは夢の新薬開発といった大雑把なものではなく、患者の特定のニーズに応える新薬や技術の開発です。癌やアルツハイマー認知症などのアンメット・メディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)はもちろんですが、予防医学やカレイ、再生医療などで医薬品が活躍できる分野は無限にあります。