入浴中は突然死しやすい:冬はストレスが溜まりやすい


入浴は心身の疲れをとるとともに、血行をよくするがはたらきがあり、日常の生活に欠かせないものです。衣類をとって湯に入るので、部屋の温度が低いと血管が収縮して血圧が上がり、湯に入って温まると血管が拡張して血圧が下がります。血圧の急な変化は、心臓・血管系の負担となり、それが事故につながることがあるので、高血圧でリスクの高い人、特に高齢者は冬は脱衣湯を温め、お湯の温度はぬるめにするとよいでしょう。
食事の直後や、飲酒してあまり時間の立たないうちは、入浴を控えます。血圧が上がっても、また下がり過ぎても、事故につながりうるからです。突然死の研究・調査によると、突然死の頻度は入浴中が一日のうちで最も高く、睡眠中の10倍であったという報告があります。また、やはり冬に頻度が高いです。
血圧は冬が高く、夏は下がりやすい事はよく知られています。心臓・血管系の事故は、冬と夏にその頻度が高く、春と秋には比較的少なくなります。冬と夏は生活面でも心身にストレスがかかりやすいですが、血圧からみると一方は上がりやすく、一方は下がりやすいです。昔から冬は血圧に悪く、脳卒中が起こりやすいと言われたのは、脳出血が多かったころのことで、ひどい脳出血が減ってきたので、血管がつまる脳梗塞のほうはむしろ夏のほうが危険性が高いと考えられます。
夏は食欲も減り、医療の働きが悪くなりやすく、また汗をかくこともあって、水分欠乏を起こしやすいです。水分欠乏を起こすと、血液が粘っこくなり、血液が流れにくくなったり、つまりやすくなるので、それが事故につながりやすいのです。高齢者では喉の渇きを感じにくくなるのと、腎臓で尿を濃縮して身体に水分を蓄える力が弱くなっているので、特に脱水状態となりやすいです。これを防止するのが高齢者の夏の健康管理の重要なポイントです。食事、睡眠などを含めた全身の健康管理が大切です。血圧が下がるので安心という考えは、ここでは通用しません。