毛包脂腺系疾患

 

 

 〔症状〕青年男女の顔り]匈・背部に,毛包一致性の丘疹・膿疱が多発し,色素沈着・小瘢痕を残して治癒する、初発疹は面皰(comedo)〔出□の閉じている閉鎖而皰(closed comedo)は白く,毛孔の|羂いている開放面皰(open comedo)は汚れが付いて黒い〕〔付図卜3〕で,毛包破壊や二次感染により膿疱〔膿疱性疱瘡(acnepustulosa)〕,硬結〔硬結性疱瘡(a. indurata)],嚢腫〔嚢臉即座IS (a. cystica)]となり,またこれらが多数集簇し線紺化を伴う〔集簇性疱瘡(a. conglobata)〕〔付図28-1,28-3〕.顔而では眼瞼・耳前部を除き額・頸部に多く,30歳前後では□囲に集まる傾向をみる.脂漏性の人に多くみられ,月経前増悪をみるものもある〔premenstrual acne〕.いわゆる「にきび」.

 

 〔病因〕思春期内分泌変動〔androgen/estrogen↑〕で皮脂腺の機能亢進を生じ,毛漏斗部・脂腺排出管の異常角化亢進と相俟って皮脂の貯留〔面皰形成〕が起こり,これに細菌〔Propionibacterium acnes ’表皮ブ菌など〕のリパーゼが作用して遊離脂肪酸を生成,この遊離脂肪酸が毛包壁を傷害して面皰内容物〔皮脂成分・角質〕を真皮内に出し異物反応を惹起する.また P. acnes は白血球遊走因子・補体活性化因子・プロテア一一ゼ・ヒアルロニダーゼを出して炎症を増強する.胃腸障害一自律神紅失調・精神身体的要因・遺伝・食餌・外的刺激〔機械的・化粧品・油脂など〕も一因をなす.

 

 〔組織所見〕上記発症機序よりわかるように,脂腺肥大・毛孔性角化→毛包頚部嚢

腫状拡張→壁破壊による炎症・異物反応,膿疱形成,瘢痕化,表皮嚢腫形成.

 

 〔鑑別診断〕顔面播種状粟粒結核・酒皷性瘁戳・青年性扁平疣贅・ステロイド座そう,

口囲皮膚炎.

 

 〔予後〕25歳を過ぎる頃より自然治癒.小瘢痕,ケロイドを残すことがある.

 

 〔治療〕①生活の規則化〔充分の睡眠,ストレスを避ける〕,②外的刺激を避ける

 

 〔頭髪が顔面にかからないヘアスタイル,頬杖を避けるなど〕,③化粧品〔油脂性クリーム・ファンデーション禁止〕,④食餌〔チョコレート・落花生・クリーム・コーヒー・ココア・豚肉・もち・くるみなどを避ける〕,⑤洗顔・洗髪,⑥整腸,⑦面皰圧出〔面皰圧出器で.炎症性・化膿性のときは行わない〕,⑧クンメルフェルド液外用〔硫黄剤,角栓除去効果:朝上澄液を,夜振盪混和液を塗る〕,⑨テトラサイクリン〔副作用等で使用不能ならばエリスロマイシン・クリンダマイシンなど〕少量投与