ダイエットで健康になれるのか

 

 もう一つの「健康のため」はどうでしょう。ダイエットで本当に健康になれるでしょうか。

 

 たとえば、最近、更年期障害が多くなっているようです。更年期障害はもちろん昔からありました。しかし有名タレントまでが、ひどい症状に苦しんだということを告白するというのは異常です。花粉症やアトピーのように、昔は少なかった病気が増えているのではないでしょうか。

 

 じつは更年期障害も食べ物が関係しているのです。

 

 更年期障害は、女性が中高年になって排卵が終わり、卵巣から出される女性ホルモンが減るた  めに起こります。その女性ホルモンは、皆さんが悪玉と呼んでいるコレステロールからできているのです。コレステロールは副腎皮質で男性ホルモン(テストステロン)になり、それが脂肪細胞の中のアロマターゼという酵素で女性ホルモン(エストロゲン)になります。したがって、ある程度のコレステロールを摂らないと、つまり肉食をしないと更年期障害は改善されません。

 

 また、女性ホルモンは脳神経、中でもセロトニン神経系を剌激します。セロトニンは心を前向きにする物質です。女性ホルモンが減る更年期には、そのためセロトニンが減り、精神的に不安定になります。セロトニンの原料のトリプトファンも肉に多いので、この意味からも肉を食べることが必要です。

 

 ちなみに更年期障害のような症状は、月経前症候群といって月経の前にも起きま子。月紅前には、卵巣の黄体ホルモン分泌が下がり、女性ホルモンが減るからです。

 

 同じことが男性にも起きます。男性の更年期障害も最近問題になっています。男性も四〇~五○代になると男性ホルモンの分泌量が低下します。男性ホルモンはいわゆる性的能力だけでなく、闘争心、意欲、克己心など前向きの気持ちを生みます。したがって男性ホルモンの分泌量がドがってくると、やる気を失い、女性の更年期障害と同じ症状を示すわけです。

 

 前に書いたように、男性ホルモン (テストステロン)はコレステロールからできます。

そこで男性の更年期障害にも、コレステロールの摂取、つまり肉を食べることが予防になるのです。

『脳の栄養失調』:高田明和著より