尿細管のはたらき               

                                  

糸球体で濾過された尿は九九%再吸収されますが、それはただ単に再吸収されるのではありません。身体に必要な糖やアミノ酸などは一〇〇%再吸収され、身休が必要としない尿素クレアチニンなどはほとんど再吸収を受けずに排泄されます。

 

 ただし再吸収の力には限度があり、たとえば血糖が一七〇ミリグラムノデシリットルを超えると尿中に糖が現われます。

 

 昔は、血糖は限られた医療機関でしか測定できず、高血糖になると出現するこの尿糖で、糖尿病の程度を診断していたのです。一九七五年に血糖の自動測定法が開発され、それ以後一般病院でも測定できるようになりました。

 

 また尿細管から分泌され、排泄される物質も数多くあります。酸はアンモニアの形で排泄され、細胞外液の酸-アルカリバランスを厳密に保つのに役立っています。多くの抗菌薬(抗生物質)は尿細管からの分泌で排泄されます。

『腎臓病の話』椎貝達夫著より