バイオーレメディエーション(環境)とゼネコン

 

 土壌や湖沼には自然の生態系が本来有している浄化能力が備わっている。しかし環境汚染で、その能力が衰退してくというのが今の地球の姿。その浄化能力を人工的に高めようというのがバイオーレメディエーションだ。エコテクノロジーの1分野ともいえる。 主に有害汚染物質を微生物により分解・無害化し、現場の修復を図る技術である。汚染地域を対象に、有害物質を分解できる微生物を育種し、これを直接導入して能率的に汚染を除去しようというもので、富栄養化湖沼の浄化などを目的とする長期対応型と、石油による汚染土壌の修復などを目的とする突発型対応に分けられる。

 

 バイオーレメディエーションの特徴は、二次汚染の心配が少なく、現場処理が可能であり、かつエネルギーの投入が少なくて済むということだ。

 

 たとえば、ガソリンーディーゼル油に汚染された石油精製所跡地の修復、トリクロロエチレン(有機塩素系物質)などに汚染された半導体工場跡地の修復などにあたる。

 

 「土壌浄化は事業になる」と、ゼネコン各社が相次いでこの分野に乗り出している。必ずしもバイオ技術を用いたものだけではないが、建設不況が長引くだけに、各社とも必死だ。清水建設は、昨年4月に国立オランダ応用科学研究所を中心とするオランダ企業3社と提携、従来と比ベコストが3~4割安い土壌汚染浄化システムを導入し、同時に土壌環境木部を設置している。

 

 大林組は地中の微生物を使い、浄化期間を従来の半分に短縮するコバイオダスターエ法」をスウェーデンから導入。(ザマは鴻池組と共同で米国から技術導入した汚染土壌を溶解固化して無害化する「ジオメルトエ法」を利用し、和歌山県内の産廃焼却場跡地で、ダイオキシン類に汚染された土壌の浄化を実施した。

 

 飛島建設も、ダイオキシンや重金属に汚染された土壌を溶融せず常温のまま、特殊な化学処理を行うことで浄化する「DCR工法」をドイツから導入している。

 

 ごみ焼却場周辺の土地からダイオキシン類が検出されるなど、日本の土壌汚染は全国で44万力所あるといわれるから、かなり有力な市場だ。