悪性腫瘍系か、循環器疾患系か

 

 医者は患者に対して、必ず家族の病歴を質間する。「身内にガンで亡くなった方はいらっしゃいますか?」T心筋梗塞脳梗塞で倒れた方は?」と。悪性腫瘍になりやすいか、血栓症(心臓や脳の血管疾患)になりやすいか、ともかく遺伝的な傾向があることは間違いない。

 

 血液がトロトロ状態だと血栓症になりやすいことは先に述べたが、血液がトロトロ状態になりやすい人は、白血球の活性が高い人に多いのではないかと推測されるのだ。白血球の活性が高いと、わずかな刺激で白血球は活性化され、粘着能を高める。このこと自体がまず、血液がトロトロ状態になる要因だ。さらに、白血球が活性化されると、血小板を活性化する物質を放出する。その結果、血小板の凝集能が高まり、血小板は凝集塊を形成する。それによって、血液はさらにトロトロ状態になる。

 

 一方、悪性腫瘍化した細胞を攻撃するのは白血球の一種だ。正確には全糖類の白血球が役割分担をして攻撃すると考えたほうがよく、白血球の活性が高いことは、悪性腫瘍を防ぐために、とても重要なことだ。白血球の活性の高い人は、ガンになりにくいといってよい。ところが、白血球の活性が高いと血液がトロトロ状態になりやすく、血栓症をおこしやすいのだ。

 

 死亡原因の中で、悪性腫瘍血栓症の比率はほぼ一対一で、それぞれ全体の三分の一を占めている。今述べたように、ガンの于防につとめると血栓症になりやすく、血栓症の予防につとめるとガンになりやすい。両方を防がなくては長生きはできない。難しいものだ。

 

 そこで、ガンと血栓症の両方を予防するうえで、血液の流動性測定は、たいへん役に立つと私は確信している。血液流動性測定装置を利用して、頻繁に血流の状態を監視していれば、白血球の活性を高めながら、血液がトロトロ状態になるのを防ぐことができるからだ。