ビジネス英語

 

 ビジネスの世界で英語力の必要性が高まってきていることも間違いない。インターネットがビジネスのインフラとして急速に浸透してきたことも、英語力の必要性を高めている。もっとも一時期流行した「国際化=インター不ット=英語」という連想から、英語力が企業の将来を左右するといった英語絶対必要論とても言うべき極論は見当外れである。国際化それ自体は目新しいことでも画期的に進展しているわけでもない。日本企業はこれまでも国的なマーケットを相手にビジネスをしてきた。国際化とインターネットが結びつき、それと英語が関連したところが新しい点である。しかし、この図式の中でイコールの結び付きとして表現しているところは必ずしも正確ではない。英語がより使われやすくなった程度の結び付きと解釈したほうが現実的である。

 

 したがって、「国際化=インターネット=英語」をまるごと信じてしまっているおっちょこちょいな会社は、ちょっと「要注意」と考えたほうがよい。たとえば、英語を全社員必須の能力として位置づけて、社長以下全社員にTOEICのテストを受けさせるというようなことを始めた企業である。こんな余計な負担を全従業員に求めていて、本当に必要な能力の発揮が十分にできるのだろうか。また、英語ができないと幹部になれないという人事方針を採用した企業もあるが、はっきり言ってろくな結果にならないだろう。

 

 トヨタはGM(ゼネラルモーターズ)に次いで、世界第二位の自動車会社となったばかりか、収益力ではGMをけるかに上回って断然トップである。もし英語力が決め手であるなら、フォードやクライスラーの経営者、管理者の英語力がトヨタに劣っているということになりかねない。英語絶対論からはこんな馬鹿馬鹿しい結論が出できてしまうわけである。

 

 ビジネス英語というと、会話力が大きなウェイトを占めるようになってくる。ただし、挨拶や対応の会話、日常会話レベルでは話にならないのは言うまでもない。説明・説得の英会話力が必要となってくる。

 

文科省が英語を壊す:茂木弘道著より