2014-10-21から1日間の記事一覧

 高校以降の英語

以上、中学校でどうすればまともな英語教育を行うことができるかについて検討してみた。しかしながら、これらを行ったからといって、すぐに使える英語力が身につくわけではない。再三繰り返したように、英語の基礎力がつくだけである。使える英語への道はこ…

 英語学習効率を高めるのが文法

これは中学レベルにおいても基本的には同じことである。 This room is usually used for eating lunch.という文章を理解するには、eatingという動名詞の性格、使い方を知る必要がある。「動名詞」などという聞いたこと…

 文法はありがたい魔法の鍵

文法のもう一つの側面というより、本来の面目は人間の言語能力が生み出した、言葉に内在するその骨格の構造性、規則性ということにある。この構造性、規則性を明文化したものが文法の本質であって、人為的に作った規則ではない。渡部昇一先生は『英文法を知…

規範=法律としての文法

しかし、文法という法律が支配する「英語という法治国家」で、法を無視して間題が起こらないはずがない。 まず、文法を間違えることによって起こる誤解、トラブルが考えられる。 たとえば、「綾子さんは高山先生の奥さんなんですよ」と言うつもりで。 Aya…

文法はなぜ学ぶのか?

「文法・読解中心の従来の英語教育」と非難される、悪者の代表にされている文法について、考えてみよう。 文法は、伝統的な英文法が「規範文法」と呼ばれるように、英語はこうあるべきという英語についての規範すなわち法律としての側面を持っている。したが…

会話トレーニング部は英語版「そろばん塾」

筆者の体験で言うと、ダントツの効果をあげる教育として「そろばん塾」がある。学校では、せいぜい二桁の足し算をゆっくり行うくらいなのに対し、そろばん塾でのトレーニングを一年も行うと、五桁くらいの加減算ならものすごいスピードでできるようになる。…

 トレーニング部用のプログラム開発が必要

トレーニングとは何をやるのか、と言えば、ます基礎練習としての、発音、音読である。教室ではとても十分に行えないので、ここで徹底的に素振り、ランニング、キャッチボールを行うのである。教室の十倍、何十倍これをやり、次はリスニングを入れるのがいい…

英会話トレーニング部のすすめ

では会話はどうしてくれる、と言う人がいるかもしれない。もしもどうしても中学枚で会話がうまくなりたいという生徒がいたとしたら、運動部としての英会話トレーニング部を作ればよいのである。 英会話がスポーツであるならば、英会話上達のためには、サロン…

 教室は「一対多」向きのことをやるべきである

教室ではその性格上、一対一よりも一対多の教育が基本とならざるをえない。したがって、基礎訓練としての発音・音読などは教室向きであるが、一対一の会話練習には教室は向いていない。基礎訓練のほかは、文法・読解が教室での教育の中心となるということは…

 教室向きでない英会話

テニスが教室で上達しようがないのと似て、英会話を教室で上達させようというのは場違いなのである。AET(Assistant English Teacher)のネイティブが教室に来たとしよう。会話はスポーツなのだから、実際に声に出してしゃべらなければう…

 英会話はスポーツである

最初から一貫して「英会話重視」という流行思想に反対してきたのは、決して会話不要論 の立場からではない。それは、これまでの説明からもお察しいただいたことと思う。会話信奉論者の「英会話幻想」という「間違った」考え方が、結局は英語力全般の低下をも…

強弱アクセントとリズム

強勢がある間隔で繰り返されることによって作られるリズムで、このリズムをstress timing(強勢リズム)と呼ぶのだが、これに対して、日本語は二日=匸ンラブルが均質的・等間隔的に発声される、音節リズムの発声である。 せっかく発音練習をして正確…

 なぜ最近の中学では音読をやらないのか

このようにきわめて効果も高く、いわば英語学習に必須の基礎練習である音読が、最近の中学校の英語の授業ではあまり重視されていないようである。少なくとも昔よりも軽視されている傾向がある。これは国語の授業で朗読が軽視されるようになったのとどうも同…

言語能力を蓄積していくには

言語能力を蓄積していくには、この二つの中枢の連携を活性化させて常にメッセージが循環するような回路が必要なのである。 音読は目で見たことを囗で発する、つまりウェルニッケ中枢とブローカ中枢の間でのinteractive(相互関連)を引き起こす。こうし…

 聞こえることが先か、発音できることが先か

七面倒くさく、正しい発音などというものを教えるよりも、ネイティブの生の会話を聞かせるほうが効果的ではないか、と考える人もあろう。前掲書『英語は絶対、勉強するな!』では、赤ちゃんが言葉を覚えていくのと同じように、聞くことから入るべきであると…

発音トレーニングの重要性

さて、英語の基礎ということになると、まずは発音から始まる。前述したように、英語と日本語では母音からして大きな違いがあり、子音では基本的な発声の違いがある。英語の発音については発音記号の説明とともに、これまでも一応は教えてはいる。しかし、そ…

なぜ毎日やらないのか

語学の学習の鉄則に「少しずつでもいいから毎日取り組む」という原則がある。語学を勉強した人なら誰でも覚えのあることだろう。一九四七年、戦後はじめての学習指導要領にも「学習指導法」として次のように書かれている。 「英語の学習においては一時に多く…

 あらためで中学英語を考える

こうしたことを前提として、英語教育はどう行うべきかを考えなければならない。これだけの違いのある言葉を学習するのである。会話ができないから会話をもっと重視しようとか、ネイティブを連れてくればうまくなるだろうとか、もっと小さい時からやれば、楽…

英語と日本語の違い過ぎる発音

こうした点からもわかるように、日本語と英語の間にはあまりにも違いが多いのである。まず音声であるが、これには単語の発音と発声のリズムとがある。 発音で言えばよく知られているように、日本語には母音が五つしかないのに、英語には一一もある。われわれ…

なぜ英語は難しいのか?

英語を学ぶことは英語という異文化を学ぶことだから、その文化的背景の理解もしなければならないので難しいのは当然である、と言ってしまえばそれまでである。しかしこうした一般論はおくとして、間題なのは「言語」としての英語がわれわれ日本人にとって、…

ものを言うのはWritten English 

しかし、ここでも一番ものを言うのは会話よりもWritten Englishなのである。ビジネスと言っても、夜店でうまいことを言ってものを買わせるといった営業をやっでいるわけではない。膨大な情報に基づき、これを駆使しながらビジネスを進めていくわ…

ビジネス英語

ビジネスの世界で英語力の必要性が高まってきていることも間違いない。インターネットがビジネスのインフラとして急速に浸透してきたことも、英語力の必要性を高めている。もっとも一時期流行した「国際化=インター不ット=英語」という連想から、英語力が…

観光英語

挨拶や対応等の平易な会話が活用できそうな場面として次に浮かぶのは、海外に出かけた時のことである。 海外へ行った時に、買い物をしたり、食事をしたり、町をぶらつき、ちょっと道を尋ねたり、あるいは軽い会話を交わしたり、といったことができたらと願う…

小さい時でないと耳ができない?

耳が敏感な子どもの時から英語に触れさせないと、聴き取り能力は身につかないから小学校からやらせるべきである、というのもよく言われることである。しかし、それも現実離れの空論である。 第一に、発音の臨界期は六歳頃にくると言われている。すなわち小学…

小さい時から英語をやれば苦労しないでうまくなる?

「自分がこんなに苦労しても英語ができないのは、要するに小さい時からやらなかったからだ。考えてみれば、自分は何の苦労もしないで日本語を覚えた。小さい時からやれば言葉なんて簡単に覚えられるのだ」といったはなはだわかりやすく、疑いようのないよう…

カタカナ語は英語力とは無関係

カタカナ語の氾濫と英会話幻想は、もっとも素朴な「英語神さま語的信仰」の例である。先に見たように必要のないカタカナ語、断片英語を歌の中で多用するのは、神さま語である英語を呪文のように唱えているのと同じである。何しろこれによって英語力、コミュ…

田中さんのノーベル賞と英語力

田中耕一さんが、ノーベル賞受賞の記者会見で、"I don't want to speak English."と言ったことはよく知られている。そうは言っても田中さんは、ちゃんと英語でスピーチもプレゼンテーンョンもした。研究に必要な英語の文献を読む英語…

悲しい語学留学生の話

イギリス留学をした友人の体験談である。ある時スーパーに買い物に行ったところ、日本人の女性に日本語で話しかけられたそうである。受け答えをしているうちに、話をしたい様子なので喫茶店でしばらく付き合ったそうだ。イギリス人と結婚している人だとわか…