発音トレーニングの重要性

 

 さて、英語の基礎ということになると、まずは発音から始まる。前述したように、英語と日本語では母音からして大きな違いがあり、子音では基本的な発声の違いがある。英語の発音については発音記号の説明とともに、これまでも一応は教えてはいる。しかし、その説明がはなはだ不十分であることに加えて、正しい発音をするためのトレーニングにいたってはまったく不十分である。

 

 実は、会話の基礎と言うべきヒアリンダのべIスは、正しい発音にある。間違った発音をしながら、それとはきわめて違ったネイティブの発音が聴き取れないと悩んでいるといのが、大方の日本人ではないだろうか? 考えてみれば正しい発音ができないのに、聴き取りができるはずがない。しかしながら、会話、ヒアリングがあれほど言われながら、正しい発音のためのトレーニングに徹底的に取り組むことの重要性がそれほど取り上げられないのは一体どうしたことか。

 

 私の中学生の頃には、ネイティブもほとんどいないし、テープレコーダーもないし、正しい発音について、先生方もそう自信がなかったという事情があったであろう。それほど発音練習を徹底してやらなかったのは仕方がなかったとも言えるだろう。私は中学時代、NHKのラジオ講座を聞いていたので、学校の先生の発音よりは少しは英語らしい発音ができるようになったつもりでいた。しかし実際は駄目な発音が多かったことが後になってわかってきた。これが後々まで崇ったのであった。

 

 しかし、現在では、これが英語発音だという教材はいくらでもあるし、また作れるのであるから、これを使って初期の段階から発音・発声トレーニングを繰り返し「徹底的」にやるべきである。この点についても、小学校英語は非常に間題である。もともと小学校の先生は英語を教えることを前提にしていなかったのであるから、正しい英語発音を期待するのは酷である。週二時間程度ではどっちみち残るものはほとんどないであろうが、よりによって間違った発音の癖でもつけられたら、それこそ「会話力」の大障害になってしまうだろう。

 

文科省が英語を壊す』茂木弘道著より