聞こえることが先か、発音できることが先か

 

 七面倒くさく、正しい発音などというものを教えるよりも、ネイティブの生の会話を聞かせるほうが効果的ではないか、と考える人もあろう。前掲書『英語は絶対、勉強するな!』では、赤ちゃんが言葉を覚えていくのと同じように、聞くことから入るべきであると言う。事実、その「第1ステップ」はテープをじっと毎日一時間聞くことになっている。

 

 しかし、われわれは赤ちゃんには戻れないし、子どもの時代のように何万時間という膨大な時間を英語漬けになるわけにはいかないのである。しかも音声に関しては、言語習得の臨界期は六歳頃にくると言われているので、自然に習得できる能力は小学校の頃にはもうわれている。もちろん、大量に聞いていれば段々覚えるようになるが、とても臨界期以前の幼児のようにはいかない。だからこそ、どのようにして効果的に発音を身につけるか、という学習方法が大事になるのである。