英語学習効率を高めるのが文法

 

 これは中学レベルにおいても基本的には同じことである。

 

  This room is usually used for eating lunch.という文章を理解するには、eatingという動名詞の性格、使い方を知る必要がある。「動名詞」などという聞いたこともない言葉を使うのがいけないと言っても、もともと日本語にない性格の言葉なのだから仕方がない。動名詞を理解すれば、よく出てくる文章である、

 

 こんな表現は、普通の表現にはあまり出てこないだろう。教われば、理解することはそう難しくはないだろう。しかし、文型と不定詞のことを教わっていれば、より理解しやすくなり、またこれに類した表現が出てきた時に応用が利く。とくにいろいろな修飾の語・句が付加されてくると、この基本文型の性質をしっかり押さえておかないとなかなかすっきり理解できなくなる。たくさん文章を読んでいれば、こうした規則性を自然に何となく見つけ出す言語能力というものが、われわれの内には備わってくる。ただそれは時間をかけなければできないことである。簡単に言えば、「自然に」そういう法則性を感知する一〇〇分の一か、一〇分の一か、ともかく超効率的に法則性を教えてくれるのが、文法なのである。

 

 こんな超効率的なありがたいノウハウを恨む人がいるとは奇妙な話である。もっとも世の中には、文法は便利かノウハウというよりも「権威」と思い込み、そのように習い教えている人もいるようなので、こんなおかしなことも起こるのだろう。「英語は絶対、勉強する

な!」と文法に反発するのも、権威主義の強いお国柄ならではのことであろう。まともに考えれば、こんな馬鹿を言っている暇はない。基本文法を教室で徹底的に理解させるべきである。教室こそはこれ年取り組むのにもっとも適した場なのである。

 

 海外生活の長いある友人が私にこういったことがある。「今あらためて思うのは、白‥分が日本で受けた英語教育で唯一優れており、国際競争力のあるのは英文法の教育であったということだ」。文法教育を敵視するなどいうことは狂気の沙汰というべきである。

 

文科省が英語を壊す』茂木弘道著より