肉こそダイエット食品?

 

 最近では、アミノ酸のうちのトリプトファンが少ないと空腹を感じ、多くなると満腹を感ずるということも分かってきました。ただしトリプトファンが、直接、満腹感を生むのではありません。トリプトファンが脳内でセロトニンになり、そのセロトニンが満腹中枢を刺激するのです。

 

 じつはトリプトファンは食肉に多く含まれています。セロトニントリプトファンを原料にして脳内で作られます。そこで、もし肉を食べないでいると、血中のトリプトファンが減り、脳内のセロトニンも少なくなります。

 

 この状態は食欲を増進させて摂食行動をとらせます。その結果、肉を食べ、血巾のトリプトファン、さらには脳内のセロトニンが増え、満腹感をもつのです。

 

 セロトニンでもう一つ大事なことがあります。セロトニンが少ないと、非常に攻撃的になることです。お腹が減ると怒りっばくなるのは、セロトニン不足のせいです。しかしこれは、腹のときには、狩りのために自分より大きな動物にも襲いかかるといった攻撃性をもつ点て、非常に理にかなった仕組みです。

 

 これが脳が肉を欲しがる理由です。肉の成分のタンパク質の構成成分であるアミノ酸は、脳にだけ必要な物質ではありません。しかし、脳が血中のトリプトファンを指標にして肉を摂るようにさせ、結果として体令体にアミノ酸が行き渡るようにしているのです。

 

 これで、肉不足ではダイエットに失敗することがお分かりになったと思います。

『脳の栄養失調』:高田明和著より