血液が流れにくい状態が続くと、どうなるか。

 

 

 血液を無理に流すための力が働いて、流れの速いところ、すなわち動脈で血小板の凝信木

塊ができやすくなる。動脈硬化で細くなった血管ではなおさらだ。そして、その凝集塊は血液の流れが少しゆるやかになったところにつまる。凝集塊は、普通、血液の流れで飛ばされるが、なかなか飛ばされない状態が続くと、血漿中の線維素と呼ばれるタンパク質(フィブリノーゲン)が重合して、線維(フィブリン)となって析出してくる。その線維の網に赤血球がつかまって、赤い凝集塊ができてしまう。この段階でも、線維を分解して溶かす酵素が働いて、血栓を防ごうとするが、その力が弱かったり、線維のできる速度が速かったりすると、完全な血栓になってしまう。流れのゆるい静脈での血栓は、線維素が線維になる反応のほうが主役になる。

 

 また、「塞栓」という言葉も間いたことがあるだろう。塞栓は、静脈の血管や心臓など、ほかの場所にできた凝血塊の一部がはがれて動脈に流れ込み、血管がつまることだ。静脈に凝血塊ができた場合、血液の流れは悪くなるが、いのちにかかわる病気を引きおこすことはない。はがれて動脈に入った場合、動脈塞栓をおこすから危険なのだ。脳動脈に血栓や塞栓ができた場合に、脳梗塞を引きおこす。冠動脈に血栓や塞栓ができた場合は、心筋梗塞。肺動脈での血栓・塞栓もたいへん危険だ。

 

 毛細血管モデルを使った測定から、活性化した白血球や血小板が凝集してできたかたまりが、一時的に毛細血管をふさぐ事態が比較的頻繁におきていることが推測された。