白血球の粘着性と血栓のでき方

 

 血液細胞の中で、もっとも数が少ないのが白血球だ。その数は赤血球の五〇〇分のIから一〇〇〇分の一程度で、血液一マイクロリットル中、四〇〇〇~九〇〇〇個しかない。しかし、その役割は重要だ。白血球は一種類の細胞ではなく、好中球、リンパ球、マクロファージ、好酸球、好塩基球という五糖類の細胞の総称だ。リンパ球はさらに異なる糖類に分けられる。それぞれが役割を分担しつつ連携して病原微生物や異物を攻撃破壊する。

 

 体は病原微生物やウイルスが簡単に侵入しないように、多くのバリアをもっている。たとえば、食物と一緒に入ってくる細菌は、ほとんど胃酸で殺されてしまう。そのバリアをこえて侵入してきた微生物を排除するのが、好中球やマクロファージの仕事だ。侵入してきた微生物の数が多すぎて排除しきれないときに発病する。また、感染症を記憶して、同じ感染症に二度とかからなくするのがリンパ球の性事だ。白血球の数が、一マイクロリットル中一〇〇〇個をきると、感染症を避けられなくなる。病原性でなかった微生物も病原性を示すようになってくる。日和見感染と呼ばれる事態だ。

 

 感染部位の病原微生物からの刺激物を感知して、白血球は粘着性を高める。正確には、粘着性のない状態から粘着性のある状態へと変化する。この変化が遅いと、感染部位を通りすぎて別の場所に粘着してしまうことになる。そのため、反応を速めるアクセルが働く。白血球が粘着しすぎると、血管をふさいでしまう。それを防ぐためにブレーキが働く。これも血小板の場合と同じだ。