交流磁場―赤血球が薄着になる

 

 運動、指圧、入浴のいずれも、筋肉の運動やほかからの力で血管の運動をおこさせたり、温度の上昇で血管を間かせたりして、滞りがちな血流を改善している。そして、血流がよくなることで、血液自体の流れやすさも改善される。よい方向のサイクルをつくり出しているわけだ。

 

 体に磁場を作用させると、血行がよくなるともさかんにいわれている。そこで、実験を行った。

 

 まず、商用の交流一〇〇ボルトで作動する電磁石六基が組み込まれたマットレスに三〇分横になってもらい、交流磁場を作用させた。その後、血液流動性測定装置MC一FANで血液の流れを測ったところ、一五人中匸一人に、血流改善効果がみられた。横になって安静にしているだけでも効果があるかもしれないと思われたので、磁場を作用させず、三〇分横になってもらい、血液の流れ具含を測定した。結果は、九人中四人で、血液が流れやすくなっていた。安静にしただけで血流が改善されたのは、実験の前の血液通過時間が長かった人たちだった。安静によって、血液中のカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)のレベルが低下したことで、血小板の凝集能が下がったと考えられる。

 

 この安静の効果に加えて、交流磁場の作用は、たしかに血液を流れやすくするようだ。交流磁場がイオンを揺り動かすことで、赤血球の表面に吸着している血漿タンパク質の量を減少させ、その結果、赤血球が変形しやすくなったのではないかと考えられる。