マリファナを吸うと
麻薬の一つとして、服用はおろか所持や原料になる大麻草の栽培も禁じられています。
マリファナはタバコのようにして吸うと快感を覚え、気持ちが落ち着くといわれます。これは私たちの体にマリファナと反応する受容体があるということです。
一九八七年にアメリカ国立衛生研究所のマツダは、脳内に新しい受容体をみつけました。ただし何の受容体かはまだ不明でした。一方、(Iケナムは、マリファナの成分が、脳のどこに結合するかを調べていました。
マツダはこれを知り、マリファナが結合する部位と、自分のみつけた受容体のある部位を比較しました。すると両者は完全に一致したのです。つまり、マツダがみつけたのはマリファナの受容体だったのです。
もともと私たちはマリファナを吸うことはありません。にもかかわらずその受容体があり、気持ちよくなるのはなぜでしょうか。それは、脳内にマリファナに似た物質があり、何かの働きをしているからに違いありません。そこで今度は、この受容体と結合する。脳内マリファナ”の探索競争が始まりました。
そして一九九二年、イスラエルのデバインとメコーラムが、ついにこの物質をみつけました。彼らはこの物質を、至福という意味のサンスクリット語、「アナンダマイド」と名付けました。
さらに、アナンダマイドはアラキドン酸が変化したものであることも分かりました。これが肉を食べると幸せ感が得られる理由でした。
ちなみに、アラキドン酸はリノール酸など植物性の脂肪からも作られますが、ヒトではその働きをする酵素系が弱いのです。したがって肉を食べないと、うつ状態になりやすくなるのです。
『脳の栄養失調』高田明和著より