ストレス脱出物質
脳内の神経伝達物質でセロトニン、ドーパミンの他に大事なのはノルアドレナリンです。これもモノアミン類の一つです。ノルアドレナリンの神経細胞は橋の青斑核にあり、脳全体に軸索を伸ばしてノルアドレナリンを届けます。
ノルアドレナリンはストレスに対する抵抗力を生みます。 たとえば、ラットを箱に入れ、その床に弱い電流を流して、ラットにストレスを与えます。
レバーを押すと電流が止まります。それを覚えたラットは、電流が流れるとレバーを押すようになります。このときラットの脳にはドーパミンがもっとも多く出ています(同図①)。
次に、レバーを押しても電流が止まらないようにします。ラットは電気ショックから逃れようと、箱の中を動き回ります。するとドーパミンが減って、ノルアドレナリンが多く出るようになります。
逃げ回っても苦痛から逃れられないと、ラットは疲れきって、うずくまってしまいます。そうなると、副腎皮質からのストレスホルモンのコルチゾルがもっとも多く分泌されるようになります。
つまり、ドーパミンやノルアドレナリンは、ストレスから脱出する意欲を呼び起こす脳内物質なのです。
『脳の栄養失調』高田明和著より