脳血管系・心疾患の病気をおこす

 

 脳への血流が少なくなると、脳で使われる酸素や栄養が量りなくなり、脳の細胞が死ぬ。脳神経は、特に酸素を多く必要とする細胞で、貯蔵エネルギーをほとんどもっていない。短時間、血流が止まっただけで死につながる。脳の一部で血流が途絶えたり、血流が少なくなると、脳梗塞がおこる。

 

 脳梗塞には二糖類あり、動脈硬化を原因として脳動脈がつまる脳血栓症と、心臓などにできた血液のかたまりが脳動脈に流れ込んで血管の内腔をふさぐ脳塞栓症がある。脳血栓症と脳塞栓症は七対三でおこるといわれている。

 

 脳動脈に動脈硬化がおこると、内腔が狭くなり、凝血塊ができる。これが脳の動脈を完全にふさぐと、脳梗塞がおこる。場所によっては血管の一部が狭くなったりふさがっても、その前後に「側副血行路」といわれる血管のバイパスができてくれる。つまったところを迂回して血液が流れ込んで、血管のまわりの組織を守ってくれる。そのため、脳血栓症でも、症状が急激にあらわれないことが多いといわれている。

 

 血流が途絶えて神紅組織が壊れてしまうと、片麻痺失語症などの症状がおきてくる。でも、「側副血行路」がよく発達すると、機能障害が少なくてすむといわれている。本書の最初のAさんの経い脳梗塞もその例であろう。

 

 脳塞栓症は、おもに心臓でできた血のがたまりが運ばれてきて、突然、脳の血管をふさぐことでおきる。血液とともに突然、凝血塊が流れてくるので、壊れた組織を助ける「側副血行路」ができる間がない。そうすると、死に至る危険性が高い。つまりやすいのは動脈硬化がおきているところなので、塞栓症も動脈硬化がベースになることには変わりがない。

菊池佑二著「血液をサラサラにする生活術」より