痴呆症になりやすい

 

 現在、日本人の六十五歳以上の老人の四・ハパーセントにいわゆる「ぼけ」症状があるといわれている。物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなったりすることは、年をとれば誰でもおこりうることだ。ただ、日常生活に支障が出るようになると痴呆症として問題になる。年をとったからといって誰もが「ぼけ状態」になるわけではない。ぼけない人もいれば、多少物忘れがひどくなっても日常生活に支障をきたさない程度でおさまる人もいる。その違いはどこにあるのだろう。

 

 痴呆には、アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆の二つがある。アルツハイマー型痴呆は脳神紅細胞の変性や萎縮でおこり、脳血管性痴呆は脳梗塞脳出血の障害などでおこるといわれている。日本では、痴呆患者の多くは脳血管性痴呆だ。

 

 ドロドロの血液は、その脳血管性痴呆を引きおこす原因となっている。

 

 脳の大きな血管がつまると脳梗塞になる。下流側の血管が壊死をおこしたあとに、凝血塊が飛ばされたり溶けたりして血流が再間すると、大きな脳出血がおきる。しかし、いきなり大きな血管がつまるということがおきるだろうか? その前に、多くの小さな血管がつまっているはずだ。下流の流れの滞りが上流側にもおよんで、上流もつまってしまうのだ。

 

 塞栓の場含も同様で、下流側でつまっていなければ、上流でつまりかけても飛ばされてしまうはずだ。下流側の小さな血管がつまって、当然のこととして大きな血管がつまる。ただ、さいな血管のつまりがほとんど無症状性だから、突然、大きな血管がつまったように自覚されるにすぎない。小さな血管がたくさんつまっている状態では、無数の毛細血管がつまっているはすだ。無症状性といったが、このような循環の状態から「ぼけ」が生じてくる。

 

 誰しも中高年になれば、人の名前が出てこなくなってあせることがある。医者に診てもらえば、「生理的な老化です」と笑われるだけだ。しかし、「生理的な老化」と「病的な老化」、すなわち「ぼけ」とのあいだに違いがあるのだろうか? 思い出世ないことが増えて、日常生活に支障をきたすようになったのが「ぼけ」だ。両者のあいだに境界があるわけではなく、連続している。すなわち、つまった血管の数が比較的少なければ「生理的老化」ですみ、比較的に多ければ「ぼけ」になってしまうわけだ。その違いをもたらすのが、血液のトロトロ度の違いである。

菊池佑二著「血液をサラサラにする生活術」より