血流が悪いと眠れない

 

 眠れないのはつらいもの。最近、サラリーマンのあいだで不眠症が増えている。なかなか寝つけない入眠障害や、眠ったと思ったらすぐに目が覚め、そのまま寝つけない早朝覚醒型不眠など、さまざまな症状が出ている。実はこの不眠は、血液の循環が悪いときにおこっている。つまり、不眠の人は、血液がドロドロの可能性が高いのだ。第一章で紹介した心筋梗塞で突然死したAさんを思い出してほしい。亡くなる一ヵ月ほど前から、Aさんはほとんど眠れない状態になっていた。本人は血液の循環の低下と不眠を結びつけることはなかった。だから、死が迫っているほど、深刻な状態だとは認識できなかったのだ。

 

 副交感神紅が交感神経にくらべて優位になって、気持ちがゆったりと落ち着いていると、私たちは眠ることができる。逆に、交感神経が優位なときは、眠ることができない。興奮したり心配ごとがあったりすると、眠れなくなるのは誰でも知っていることだ。また、格別、そうした意識がなくても眠れないことがある。それは、気づかない状態で交感神経が活発に活動しているからにほかならない。Aさんの場合、血管がつまりかけると、交感神経が懸命になって心臓を強く打たせたり、血管を強く運動させたりして、血管がつまるのを防いでいたと推測される。それが限界に達し、悲劇を迎えることになってしまったのだ。

 

 交感神経が優位か副交感神経が優位かは、腎臓の血流にも大きく影響する。乏尿になったり多尿(頻尿)になったりの紅験は誰にでもあるはずだ。眠れなかったあとの眠りで、尿が増えてトイレにおきたり、場合によってはおとなでも漏らしてしまうこともある。

 

 私たちは、自分の血液がトロトロ状態であっても、それを自覚することがぼとんどない。それは神経が活動して心臓の拍動を高めたり、血管の収縮・弛緩を強く繰り返して血流を正常に維持するがらだ。そのかおり私たちは、不眠症に悩み、次に述べる胃腸の不調に悩むことになる。場合に上っては、さらに深刻な夜尿症にも悩むのだ。それらが、自分の血液のトロトロ状態からきていることに気づかないまま……。血液をサラサラに保てれば、自殺を考えるほど深刻だった間題が、意外なほどに簡単に解決してしまうのだ。

菊池佑二著「血液をサラサラにする生活術」より