ソバ 血流がいい人はさらによくなる

 

 ソバといえば、サラリーマンの昼食の定番だ。低エネルギーと手軽さが人気の理由だろう。実は、ソバは栄養面からみてもバフンスがとれており、体重を気にする男性にも、食が細くなった高齢者にも、おすすめの食品といえるのだ。そしてさらに、このソバに血流改善効果がみられた。

 

 Kさん(男性・六十三歳)は、自宅でパソコンを使って仕事をしている。性事が集中してくると生活が不規則になりがちだ。体力はつかわないが、神紅をつかう仕事だ。野菜を中心に三食きちんと食べている。血圧は上が一一〇四毋、下が八五皿毋。身長一七〇センチメートル、体重七〇キログラム。毎日、焼酎をグラスに三~四杆は飲む。毎日三〇分以内の運動をし、休日は少年野球の指導で体を動かす。本人は健康状態はいたっていいと思っている。そのKさんの血液の流れは、血小板がやや凝集していて五八・七秒だった。男性の平均よりもやや遅めだった。そこで、ソバを食べてもらって再度測定した結果、四七・一秒に短縮されていた。

 

 また、年金生活をしているR子さん(六十一歳)は、週に一度は陶芸教室に通い、悠々自適の生活をしている。もともとの血液の流れは、四六・四秒だった。ソバを食べて一時間後には四四・一秒、二時間後には四二・五秒になった。Kさん、R子さんともに、ソバを食べたあとは血液の流れがよくなっていた。

 

 さらに、一日一食、ソバを一週間食べ続けてもらい、その血液を測定してみた。Fさん(男性・五十四歳)は夜間動務が多いコンビニエンスストアの店長。低血圧ぎみだ。摂取前には通過時間は四六・一秒だったが、一週間後には四一・〇秒になった。ソバを一週間食べ続けた結果、血流が改善したとみることができるだろう。Fさんは、「毎日一食はソバにして、体がすっきりしたような気がする」との感想だ。

 

 しかし、血流改善の効果がみられない場合もある。Mさん(男性・七十屐)は、四十代から血圧が高めで匸高いときは上が二〇〇皿阪ほどのときもある。しかし、降圧薬は飲んでいない。魚を中心とした食事をしていて、朝は、ご飯にみそ汁、いわしの目刺し、漬物が定番だ。昼食は大らないように、ソバが多い。ソバを食べる前のMさんの血流は、四一二二秒とスムーズに流れていた。ソバを食べてから一時間後の測定では、四七・八秒。食べる前よりも血液の流れは悪くなっていた。Mさんのようにソバを食べて逆に血流が悪くなった例がほかにもあった。ソバでよくなった以上に、はかの要因が加わって、血流が悪くなった可能性もあるので、もっと測定してみる必要があるだろう。

 

 ソバは、必須アミノ酸を多く含み、カリウムマグネシウムなどのミネラル、ビタミンも豊富だ。中でも、ルチンが血流改善にがかかっているのではないかと思われる。コラーゲンは組織を支える重要なタンパク質だが、その合成にはビタミンCが欠かせない。ルチンはそのビタミンCの働きを助けている。それによって毛細血管が丈夫になるという人もいる。

 

 またルチンには、血圧を下げる働きや糖尿病を予防する効果もあると報告されている。ルチンは、血圧を上げるアンジオテンシンHという物質の作用を妨害し、その効果を弱めている。さらに、すい臓の働きを助けてインスリンの分泌を促す作用があるといわれている。

 ソバといえば、私たちが思い浮かべるのは日本ソバだが、別名・苦ソバといわれるソバある。それがダックンソバだ。独特の苦みがあるので、これまで日本ではあまり食べられてこなかつた。ダックンソバの英名は、Tatary Buckwheatで、「ダックン人のソバ」という意味だ。ダッタン人が好んで栽培し、食べたことに由来している。日本でも、北海道の一部で栽培された経過はあるが、かなりの苦みがあるので、食用にはならなかった。中国、ロシア、およびヒフフヤ周辺の国では現在でも食べられている。このダックンソバに、ソバの栄養素として知られるルチンが日本ソバにくらべて、およそ一〇〇倍も含まれていることがわかった。苦みはルチンが変化して出てくるのだが、その変化をおさえる方法も最近間発された。そのおいしくなったダックンソバを食べることで、高血圧や糖尿病の改善効果が報告されるなど、新たに注目されてきてい

 

 そこで、ダックンソバの血流改善効果を調べてみた。ダックンソバ (半生麺)のざるソパを食べる前とあとの血流の変化を、二十四歳から五十六歳の男女一九人で調べた。食べたあとでは、一九人すべてに血液の通過時間の短縮がみられた。日本ソバの場合も効果があったが、ダッタンソパのほうが血流改善効果はより大きかった。

 

 血液の流れをよくしている原因として、普通の日本ソバよりも一〇〇倍も多いルチンが考えられる。ただし、食品としてダックンソバをとったときのほうが、ルチンだけを単独にとった場合よりも血流の改善効果があった。ここでも多くの成分が共同して作用していると考えられる。

菊池佑二著「血液をサラサラにする生活術」より