健康食品―血流改善への効果はこれから

 街の薬屋で飛ぶように売れているのが、健康食品の類。売り上げは年間二兆円をこえるという。中でも、ガンの予防にいいといわれる抗酸化物質配合の健康食品の人気が高い。実際にこれ  らの健康食品を食べて、「ガンが消えた」「あと三ヵ月といわれたのに、五年たった今も元気!」などという話もある。健康食品の中には、人間に本来備わっている自然治癒力を高めるものも多い。たしかに使い続けると調子がいい、副作用も心配ないとくれば、ためしてみたくなる。しか  し血流改善効果の点から、これらの健康食品をみるとどうだろうか。 血液の通過時間におよぼす健康食品の影響について、次のような結果が出た。

   健康食品を食べている人とそうでない人(男女別)では、食べている人の血液の流れがややスムーズだった。

   健康食品を食べている男性(八八人) 四八・八秒

   食べていない男性(三一四人)    五〇・七秒

   健康食品を食べている女性(三七人) 四四・七秒

   食べていない女性(一四二人)    四五・五秒

   ここでは食べているかいないかだけで、どのような種類の健康食品をとっているか、具体的に  は聞いていない。個々の食品については、効果のあるものもあるかもしれないが、これだけのデ  ータからでは、健康食品は血流をよくするかどうかの判断はできない。

   健康食品の中でプロポリスをみてみたい。プロポリスは、ミツバチが巣をつくるときに、唾液  と植物の樹液などを混ぜてつくられる物質で、ミツバチが細菌やウイルスの侵入から身を守るために使われる。有効成分は、わかっているだけでも約八〇糖あるという。フラボノイドや各糖のビタミン、ミネラル、アミノ酸などを含んでいる。また抗菌、抗炎症、鎮静、抗ガン作用があると、日本ガン学会で発表された。

 

 今まで実際にプロポリスを使ったことがない三人にためしてもらった。

 

 W子さん(女性・四十九歳)は、週に二日、事務の仕事をしている。子ども三人の母親で、食事には気をつかっている。甘いものが好物だ。最近疲れやすく、肩凝り、原因不明の胃腸障害がある。また、T子さん(女性・四十二歳)は、不規則な生活が多い営業職。食事には気をつけているが、かぜをよくひく。総コレステロール値が九八呵/澀と正常値上り低い。さらに、D子さん(女性・四十四歳)は、低血圧で、どちらかというと好き嫌いが多い。野菜中心の食生活を送っているが、神経性の胃炎に悩まされている。

 

 二〇滴ほどのプロポリスを水で薄めてとったあと、W子さんとT子さんは一時間後、D子さんは一週間継続して服用したのち、血液の流れを調べた。結果は、次のようだった。

 

 W子さん 摂取前四一二秒/摂取後三七・九秒

 T子さん 摂取前三八・〇秒/摂取後五八・六秒

 D子さん 摂取前三九・八秒/摂取後四一・六秒

 

 プロポリスを摂取後、血液の流れがよくなった人、逆に悪くなった人など、この三人の事例か  らはよくわからない。自分が循環器系の病気になりやすいか、免疫系の能力低下でガンになりや すぃ体質かなどで、どのような食品を食べるか、どのような健康食品を摂取するかを判断すればよいだろう。

 

   プロポリスもそうだが、現在、市販されている健康食品の中には抗酸化作用をもっものが多い。通常、血液の循環がいいと、体の中では活性酸素を消去する抗酸化性物質がどんどんつくられる。免疫力、つまり、生体防御能力を高めるためには、白血球の細胞傷害性の活性酸素をつくり出す能力を高めることが重要だ。そして、循環をよくして抗酸化能力を高めることが大切なのだ。抗酸化作用のある健康食品の血流改善効果を知ることは、活性酸素と血液の流れの関係を知ることにも通じる。今後の研究が待たれるところだ。ほどよい刺激が血流を変える