2014-01-01から1年間の記事一覧

 血液透析

血液透析は四時間ずつ週に二回行ないます。これによりクレアチニンクリアランスでいうと六%程度の腎機能を保つことができます。 毎分二〇〇ミリリットルの量の血液を透析器に導く必要があるので、前腕の動脈と静脈の側面に孔をあけ、二つの孔を縫いあわせ動…

 腎不全保存療法を普及させるには

ところで、このような患者さんに歓迎される治療法が広がっていかない理由は何でしょうか。一回当たりの診察時間、一回当たりの医療費を求めてみると、ほかの高血圧、糖尿病、慢性肝炎などの内科診療の場合とそう違いませんでした。しかしこの結果は、診察ブ…

 蓄尿が普及しない理由

ところが、この自宅で行なう蓄尿は、日本ではほとんど普及していません。 その理由は、患者さんにとっても医師にとっても蓄尿がわずらわしいことだからです。患者さんに蓄尿の利点を説明すれば喜んでやってくれるでしょうが、医師は蛋白摂取量などを求めるた…

二四時間蓄尿の意義

自宅での二四時間蓄尿を行なうと、クレアチニンクリアランス、蛋白摂取量、食塩摂取量、リン排泄量について知ることができます。適当な間隔で蓄尿によるモニタリングを行ないながら食事療法を指導することで、うまくいけば三回目の診察日にはほぼ正しい食事…

病気は糸球体から

腎臓の病気の多くは糸球体から始まると考えられています。たとえばlgA腎症、膜性腎症など、糸球体に生じた組織変化で病名がつけられているものが多いのです。 しかし病気が進行すると問質の変化も大きくなっていき、さらに進行すると糸球体に起こった元の…

体液量を保持するしくみ

レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系(RAA系)は、生物が陸生へと進化したときに備わった体液調節系です。陸上で生活すると、身体はただちに乾燥にさらされます。乾燥すると体液量は減り、やがて血圧も下がります。そこでこれを防止する尿細管の…

ホルモン分泌作用

ホルモンとは、「身体の器官や部分で作られ、血液によって他の器官や部分に運ばれる物 質」と定義されます。 エリスロポエチンは骨髄の赤血球産生にはたらく造血ホルモンです。血液の濃さがあるところまで下がると、尿細管のまわりの間質細胞で産生されます…

尿細管のはたらき               

糸球体で濾過された尿は九九%再吸収されますが、それはただ単に再吸収されるのではありません。身体に必要な糖やアミノ酸などは一〇〇%再吸収され、身休が必要としない尿素、クレアチニンなどはほとんど再吸収を受けずに排泄されます。 ただし再吸収の力に…

窒素化合物の排泄

二人栄養素である蛋白質・糖質・脂肪のうち、糖質と脂質は二酸化炭素と水に分解され、気体と水蒸気として肺から排泄できます。しかし蛋白質だけは窒素を含んでいるため気体として排泄できず、肺以外から排泄する必要があります。哺乳類は窒素を含んだ老廃物…

 尿の稀釈と濃縮

尿量とともに、尿の濃さも環境によって大きく変化します。もっとも薄められた状態の尿の濃さを一とすると、この四〇倍まで濃縮することができます。このような幅広い調節力により、細胞外にある体液(細胞外液)の濃度は五%以内という狭い範囲に保たれてい…

ストレスに負けない食事

現在のようなストレス社会では、脳内のドーパミンやノルアドレナリンを増やし、脳の抵抗力 をつけ、喜びを感じられる食べ物を摂ることは、非常に大事なことです。 また、子どもが常に活動的なのは、何かの刺激、喜びを求めてのことです。そうした刺激や喜び…

ストレス脱出物質

脳内の神経伝達物質でセロトニン、ドーパミンの他に大事なのはノルアドレナリンです。これもモノアミン類の一つです。ノルアドレナリンの神経細胞は橋の青斑核にあり、脳全体に軸索を伸ばしてノルアドレナリンを届けます。 ノルアドレナリンはストレスに対す…

覚醒剤アンフェタミン

ところが、アンフェタミンを使っている人たちの中に、非常に活気が出て、疲れを感じなくなる、あまり眠らなくとも仕事ができる、などという人が多く出てきました。実際、第二次世界大戦では、夜戦のパイロットが眠気ざましに服用していました。 そこで、ボラ…

漢方薬からの発見

中国東北部、モンゴルの原野、砂地などには、小低木のマオウ(麻黄一写真12-2)が分布しています。茎が生薬の麻黄です。咳止め、抗アレルギー、抗炎症、発汗、解熱、 鎮痛などの作用があり、風邪の初期によく使われる葛根湯にも配合されています。 麻黄の…

ADHDとドーパミン

さて、最近、注目を集めているドーパミン関連の精神症状に注意欠陥・多動性障害(ADH )があります。この症状の子どもは落ち着きがな 174く、学校などでは教室を動き回り、ものを壊したり、暴力的になったりすることもあります。 すでに一九三〇年代には…

ブレーキ物質としてのドーパミン

ドーパミン神経の細胞体は黒質にもあります。黒質からの神経軸索は、大脳基底核に伸びています。パーキンソン病などでは、黒質が萎縮し、その結果、大脳基底核にドーパミンが出されなくなります。 パーキンソン病の人は運動に異常が見られ、ちょこちょこと歩…

老化を防ぐビタミン

どのビタミンも老化を防止しますが、とくにビタミンB類はもっとも重要なビタミンとされます。ビタミンB類には、ビタミン瑪、馬、B、ナイアシン、パントテン酸、そして葉酸などが含まれています。ビタミンB類は、一つが欠乏しているときには、他のビタミン…

ビタミンEの効用

ビタミンは酸化を防ぎ老化を遅らせることができるといわれています。このような作用のある物質を抗酸化物質といい、ビタミンAやC、E、そして、それらのもとになるβカロテンがよく知られています。 LDLコレステロールが多いと動脈硬化が進むと述べまし…

亜鉛と脳の老化

亜鉛はDNAの合成などに必要ですから、その欠乏は味細胞以外にも、いろいろな生体機能を障害します。とくに免疫機能に大きな影響が出ます。 まず、亜鉛は胸腺を活性化しています。胸腺は免疫に重要な白血球のT細胞を送り出す場所ですから、ここが弱くなる…

脳の子作り拒否宣言

最近では、健康志向のためにダイエットをする人が多くなっています。平成一七年の厚生労働省の国民健康調査でも、二〇歳代の女性の二〇パーセント以上が痩せだと報告されています。一方、三〇~四〇歳代の男性では、肥満が間題だといいますが、痩せている男…

うつで生理が乱れるわけ

もう一つ大事な点があります。それは性ホルモンが精神に与える影響です。 女性の気分が女性ホルモンの影響を受けていることは知られています。女性がうつ病になりや すいのは、月経前のエストロゲンの少ない時期、出産後に胎盤が失われ、胎盤からの大量のエ…

男にも必要なコレステロール

では男性の方はどうでしょうか。 まず、男女ともに性欲はテストステロンの作用です。したがってコレステロールを含む食事が必要なことは、すぐにお分かりいただけるでしょう。 テストステロンは、精子の形成を促進します。一回の射精で、精液は二・五~三・…

体と相談しながら食べる

これは非常に大事なことを示唆しています。 私たちはなぜ食べるのでしょうか。もちろん体の機能をうまく働かせるためのエネルギーや材料を摂り込むためです。しかし摂り込みがすぎれば、太って生活習慣病になります。一方、必要な分だけ摂取できなければ、痩…

アラキドン酸ダイエット

さて、アラキドン酸の話にもどります。 アナンダマイドの受容体にはCB1とCB2の二種類があります。CBIは中枢神経と末梢のすべての臓器、とくに肝臓、脂肪組織、腸管などに多くあります。一方CB2は免疫細胞、マクロファージなどにあります。 遺伝…

EPA・DHA アラキドン酸

脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されます。それが肝臓で再合成され、中性脂肪とリン脂質になります。中性脂肪はグリセロールの三つの腕に脂肪酸が結合した形、リン脂質はグリセロールにリン酸一つと脂肪酸二つが結合した形をしています。 中性脂肪もリン脂…

アラキドン酸の効用

動物に実験的に恐怖感を与えると、脳内でアナンダマイドや、その前駆体のニアラキドニルグリセロール(2AG)が増えます。これによって恐怖感を和らげるのだと考えられます。 アナンダマイドなどは、脳の感情の場で、恐怖を起こさせる扁桃核では多く作られ…

マリファナを吸うと

麻薬の一つとして、服用はおろか所持や原料になる大麻草の栽培も禁じられています。 マリファナはタバコのようにして吸うと快感を覚え、気持ちが落ち着くといわれます。これは私たちの体にマリファナと反応する受容体があるということです。 一九八七年にア…

呼吸と脳 しかし、トリプトファンを摂り込むだけでは十分ではありません。脳内でトリプトファンがセロトニンになる過程を促進する必要があります。促進する要因には、光、運動、眠り、よい情報などがあります。 セロトニン神紅の細胞体は脳幹の橋にある縫線…

いまを生き抜くための食事

もちろん、感情を支配する脳内物質はセロトニンだけではありません。ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンなども重要です。実際に、ドーパミンやノルアドレナリンの放出を促進する薬は、抗うつ薬として使われています。 ですから、トリプトファンの摂…

肉が少ないと……

脳がどれほどトリプトファンを求めているかは、トリプトファン欠乏食を食べさせた動物の脳内のセロトニン量の変化を見ることで分かります。 イタリアのファッダらは、ラットにトリプトファン欠乏食を食べさせ、血中のトリプトファンと脳内のセロトニン量の変…