もともと、食べ物が血液を「サラサラ」「トロトロ」にするといわれ出したのは、一九八〇年代の半ば頃、デンマークの栄養学者ダイアパークらの論文がきっかけだった。それは「グリーンランドに住むイヌイット族の人たちには血栓症が少ない」というものだ。イ…
脳卒中で倒れた前出のHさん(男性・五十四歳)はいのちはとりとめたものの、右脳視床下部のすぐそばの血管が切れていて、全身の左半分はすべて麻痺した。左目もほとんど見えない。五ヵ月間の入院後、駐車場での仕事に復帰した。現在は杖を使いながらではあ…
実は、ニンニクのにおいの成分アリシンが血小板の凝集能をおさえたのだ。アリシンが変化してできる成分の中にMATS(メチルアリルトリスルフィド)という物資があるが、それが血小板の凝集能をおさえる成分だとわかった。そしてそれは、血栓症を予防する…
ニンニクと聞いてまず何を思い浮かべるだろう。 疲労回復、ガンの予防、防腐作用、精力剤……などなど。 そして、あの強烈なにおい!・ 「あのにおいこそがニンニク」「あのにおいさえなけれ ば……」と、ニンニクの賛否を分けるにおいだが、実はそのにおいの成…
ソバといえば、サラリーマンの昼食の定番だ。低エネルギーと手軽さが人気の理由だろう。実は、ソバは栄養面からみてもバフンスがとれており、体重を気にする男性にも、食が細くなった高齢者にも、おすすめの食品といえるのだ。そしてさらに、このソバに血流…
黒豆の煮汁や煮豆には、血小板の凝集能を低める働きがあるのではないかと考えられる。血小板の凝集に関係するプロスタグランジンを生成するアラキドン酸の代謝をブロックする物質があるのではないか。そして、その物質は、どうも黒豆の黒い皮にあるように思…
一九九八年、私は兵庫県のノザキクリニックの野崎豊院長から、ある依頼を受けた。それは、高血圧患者に黒豆の煮汁を飲んでもらったら血圧が下がった。なぜ、血圧が下がるのか、そのメカニズムを調べてほしいというものだった。「丹波の黒豆」で有名なその地…
洋の東西を間わず、酢は体にいいとされ、広く調味料に使われてきた。「疲れたときには酢の物」とよくいわれる。最近は、手軽に飲めて夏バテを防ぐ、と酢ドリンクの売れ行きも好調だそうだ。もともと酢は、紀元前四〇〇年のギリシャ時代から薬としての効果が…
梅の産地、和歌山県南部川村では、どこの家庭でも常備している自家製の薬かおる。ドロツとした真っ黒い液体。なめてみると、口が曲がるくらいに酸っばい一それが梅肉エキスだ。梅肉エキスは、青梅の絞り汁を煮つめたもので、江戸時代後期から伝わる日本の伝…
保存がきき、殺菌効果もある梅干しは、古くから多くの人に食べられてきた。中国から日本に梅が伝わったのは、平安時代より前だといわれている。中国では梅の実がもつ薬効から、「烏梅」といわれる漢方薬として使われてきた。日本では、室町時代には梅干しや…
ただし、血液の流動性は個人差が大きく、その人の食生活や生活スタイル、家族の病気の傾向などがかかかっている。同一人物でも、季節によっても違うし、ストレスの度合い、その日に食べたものによってもかなり違う。ここにあげた食品は、血流改善効果が料学…
今までみてきたように、血液の流れを左右するのは食生活を含む生活習慣だ。習慣だから、 一回の食事や、一つの食品の摂取によって血液の流れやすさがすぐ変わることはないであろうと考えていた。しかし調べてみると、ある食品をとると、血流が改善されること…
現在までに行った一五六一人の血液流動性の測定結果と、その人々の生活習慣から、毛細血管モデルを通過する血液の流れやすさには、大きな個人差があることがわかった。そして、その差が食生活を含む生活習慣の差によることが明らかになってきた。血液をドロ…
血液は全身に酸素を送り届ける。酸素と結合するのが、赤血球に含まれるヘモグロビン。ヘモグロビンの量が減ると、酸素の供給が不足し、さまざまな臓器や筋肉などの組織が酸素不量状態になりやすい。これが貧血だ。貧血でも、血液が流れにくい場合と同じ症状…
医者は患者に対して、必ず家族の病歴を質間する。「身内にガンで亡くなった方はいらっしゃいますか?」T心筋梗塞や脳梗塞で倒れた方は?」と。悪性腫瘍になりやすいか、血栓症(心臓や脳の血管疾患)になりやすいか、ともかく遺伝的な傾向があることは間違…
日本の女性の平均寿命は、約八十四歳。男性の平均寿命は、約七十七歳。これだけ医学・医療が進歩しているのに、男女間の平均寿命は開きこそすれ、縮まることはない。 女性が長生きする理由として、「女性ホルモンのせい」との説明が一般的だ。また、「女性ホ…
運動中に筋肉への酸素供給が不量してくると、クェン酸回路が回らなくなり乳酸がたまってくる。そうすると、疲労して運動ができなくなる。ではなぜ、乳酸がたまると疲労するのだろうか? 多くの研究者は、「乳酸が疲労物質だから」と答えるが、これは答えにな…
最近、「血をサラサラにする」と、血流改善効果が認められる食品が、健康雑誌やマスコミに数多く登場する。血流をよくする食生活という視点が、こうした動きによって少しでも認識されることは喜ばしいことだ。しかし、こうした食品がすべての人に同じような…
一九九四年、五十三歳のとき、クモ膜下出血で倒れた一子さん(女性)の例をご紹介しよう。量販店に勤める一子さんは、明日が棚おろしの日だというので、気ぜわしかった。冬のとても寒い日で、自宅から駅までのオートバイの通動が、いつにも増してつらかった…
血栓症・塞栓症を招くから、放っておけないのだ。動脈硬化を速めるメカニズムは、血小板の凝集能が高まってヽ血液が流れにくくなることであることはすでに述べたがヽもしヽ血液が流れにくくなっていなければ、そう心配する必要はないはずだ。血圧の値と通過…
これまで繰り返し述べてきたように、血液が流れにくいと血流を維持しようと交感神経が活発に活動する状態になる。血液が流れやすいと無理をせすに血流が保たれるので、副交感神紅系が優位になる。副交感神経系が優位になると気持ちが落ち着く、夜よく眠れる…
冷房が普及した現在、夏でも冷えに悩まされる女性たちは多い。冷え性は、女性の月経痛や膀胱炎、頭痛、関節炎、疲労などを引きおこすとも考えられている。最近では、女性ばかりか男性の冷え性も増えているという。この冷え性も、末梢の血流の悪さを示すもの…
西洋医学では、肩凝りを肩関節周囲炎と呼び、関節自体よりも、その周辺の筋肉や腱、そのほかの組織の変化のために痛みが生じるとしている。一方、東洋医学では肩凝りや腰痛は「癇血」といわれる血の滞り、水毒といわれる水分代謝の不調からくると考えられて…
「なんとなく胃が重たい」「消化が悪い-下痢が続く」など、胃腸の調子がいまひとつという経験は誰しもしたことがあるだろう。検査をしても原因がわからず、胃薬をもらって服用するうちしまったという例も数多い。いわゆる機能性消但不量症候群といわれるも…
眠れないのはつらいもの。最近、サラリーマンのあいだで不眠症が増えている。なかなか寝つけない入眠障害や、眠ったと思ったらすぐに目が覚め、そのまま寝つけない早朝覚醒型不眠など、さまざまな症状が出ている。実はこの不眠は、血液の循環が悪いときにお…
現在、日本人の六十五歳以上の老人の四・ハパーセントにいわゆる「ぼけ」症状があるといわれている。物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなったりすることは、年をとれば誰でもおこりうることだ。ただ、日常生活に支障が出るようになると痴呆症として問題…
糖尿病の進行具含は、眼底出血しているかどうかで調べる。腎臓障害や糖尿病性網膜症は糖尿病の合併症としておこる。これらは、赤血球の変形能が下がるからだと考えられている。赤血球の変形能が下がると、細小血管の血管壁が血流から受ける力学的ストレスが…
脳への血流が少なくなると、脳で使われる酸素や栄養が量りなくなり、脳の細胞が死ぬ。脳神経は、特に酸素を多く必要とする細胞で、貯蔵エネルギーをほとんどもっていない。短時間、血流が止まっただけで死につながる。脳の一部で血流が途絶えたり、血流が少…
現在、日本では約二〇〇〇万人以上が高血圧だといわれている。年齢が進むとともに、「血圧が高くなった」と感じている人も多いだろう。目立った症状がないのに高血圧だけで死亡することはないが、合併症が恐ろしく、油断できない病気だ。血圧は血液を循環さ…
「人は血管とともに老いる」といわれている。これは、どういう意味だろうか。 もちろん、証明を要求されるような事柄をいっているのではない。人の老化を診てきた多くの医者の、ばくぜんとした印象を語っているものだ。老化は老化遺伝子によっておこる、ある…